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知っておきたい骨転移

2013/9/10

第5回

骨転移の症状 Part.2 麻痺(脊髄損傷)

橋本伸之

 さて、実際に麻痺から身を守る方法について解説していきます。

 脊髄の麻痺が起こるというからには、すでに背骨に骨転移が生じてからかなりの時間が経過しているはずですから、週から月単位の経過をたどる痛みが前兆としてあらわれるのが通常です(第4回参照)。麻痺の出現前には、痛みはさらに増しているはずです。さらに麻痺の初期症状は、足のもつれや踏ん張りがきかないなどと表現される状態で現れ、多くの場合しびれ感を伴います。爪先立ちができなくなったり、足首を力強く反らしたり踏み込んだりできなくなり、寝転んだ状態で膝を伸ばしたまま足を上げることが困難になってきます(下図参照)。

図1 麻痺の簡単な調べ方(橋本伸之氏による)

 第4回で、痛みを自覚した時点で病院の受診を考えて下さいとお話した理由が理解いただけたでしょうか。なるべく麻痺のリスクを避けるようにするには、早めの受診が何より重要です。もし万が一、痛みを自覚できず、麻痺が出現した段階で気付いた場合であっても、足の動かしにくさを自覚した時点で、病院を受診しましょう。麻痺に関しては、後々、「大袈裟に考え過ぎだった」と思えるくらい慎重でよいと考えるべきです。そして、いよいよ立つことがままならなくなった場合、48時間以内に治療を開始しなければ麻痺の回復はきわめて困難になるとされています。

 そこで、皆さんにお願いしたいことがひとつあります。本の中でも述べましたが、もし、足の動きに異常を感じているのであれば、休日の前日となる金曜、それも日中のなるべく早いうちに病院の診察に行っておくべきだということです。その後の対応が断然スムーズに進み、余計なストレスを受けることもなくなります。もし担当医が外来診察日でない場合は、同じ科の他の医師でも構わないでしょう。予約していなかったとしても診察に行くようにしましょう。我々のがんセンターのような大きな病院でも休日夜間の時間外になると、さすがに日中と同じ診療体制という訳にはいきません。また、麻痺がもし出現したらどう対処するかについて日頃から主治医と話し合っておくことも大切だと思います。

 万が一、休日夜間に症状が出現した場合は、全く排尿できない状況(尿閉)になっていない限り、夜間は横たわって安静保持し、翌朝に病院に連絡することをお勧めしたいと思います。検査や治療は日中に行なわれますし、結果的にタイムリミットに間に合います。尿閉では膀胱にカテーテルとよばれる管を入れないとどんどん下腹が辛くなってきます。基本的には、治療を受けている病院の当直医に相談することが必要ですが、病院が遠方にある場合は近隣の救急病院で対応してもらう方がよい場合もあります。

 人間は、日中の活動する時間帯は比較的安心感をもっていられますが、皆が寝静まる暗い夜を迎えると不安感を覚えるものです。無用なストレスや困難を被るよりは、もし足の動きに違和感を感じているようであれば、週末に入る前の早めの受診が危機回避に大いに役立ちます。

 麻痺発生後の治療の詳細は、紙面の都合上、拙著をご参照下さい。前兆に気づいたら早めの受診が何より大切です。立てなくなったら48時間、これだけは絶対に忘れないで下さい。


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