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知っておきたい緩和治療

2012/2/8

知っておきたい緩和治療 Vol.1

痛みの治療は我慢せずにがん治療と並行して行うものです

福島安紀=医療ライター

 がん対策基本法では、「早期からの緩和ケア」がうたわれている。しかし、同法の施行から5年がたとうとしているが、いまだに痛みを軽減する緩和治療が十分に普及しているとは言い難い。日本医療政策機構が実施した患者アンケートでは、約4割の人が緩和ケアについて「受けられることを知らなかった」「受けたくても受けられなかった」と答えている。今回は、身体的な痛みを軽減するための薬物治療を中心に、緩和治療を上手に受けるためのノウハウについて国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科長の的場元弘氏に聞いた。


国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科長の的場元弘氏

 「がんの患者さんは、さまざまな痛みやつらさに直面しています。『まずは治療が先だから』などと考え、痛みのことを医師に伝えずに我慢してしまう人がいます。しかし、がんの痛みは取り除けるものであって治療の対象です。我慢する必要はありません。診断時からがんの治療中、療養中、再発後も含め、あらゆる場面で痛みやつらさがあったら、まずは担当医か看護師に相談してください」

 国立がん研究センター中央病院緩和医療科・精神腫瘍科長の的場元弘氏はそう強調する。

 かつて緩和治療は、末期になってから受けるものと考えられていた。そのため医療関係者でさえ、「緩和ケアは末期になってから受けるもの」と誤解している人がいる。しかし、緩和治療はがんの治療と並行して、あるいは治療が始まる前の診断時から受けられるもので、末期の治療法を指すわけではないのだ。

緩和ケアを必要に応じて行うと予後を改善する
 「進行肺がんの患者に早期から緩和ケアを導入すると、生存期間が延長する」。ご存知の人もいると思うが、2010年8月、New England Journal of Medicineに、そんな注目すべき研究結果が発表された。

 この研究で生存期間が延びたグループは、試験登録後3週間以内、その後は月1回以上、医師とナースプラクティショナー(診療看護師)からなる緩和ケアチームのスタッフと面談し、痛みを軽減するケアを受けていた。その結果、標準的な治療を受けたグループと比べて生存期間中央値が2.7カ月長かったという。診断時からの緩和ケアは治療の支障にならないどころか、命さえ延ばせる可能性があるわけだ。

 がんの痛みには、身体的な苦痛、精神的な苦痛、社会的な苦痛、スピリチュアル(霊的)な苦痛――の4つの痛みがあるといわれる(図1)。社会的な痛みは、経済面な問題や仕事、家庭に関わる苦痛、スピリチュアルな痛みとは死への不安、人生の意味や目的の消失による苦痛などを示す。

図1 がん患者が直面する4つの痛み

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