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がん患者のための臨床試験の話

2017/5/19

がん患者のための臨床試験の話 Vol.3

臨床試験情報の探し方

福島安紀=医療ライター

 「自分が参加できる臨床試験があるのか知りたい」「もう使える薬がないと言われたが、臨床試験で試せる治療があるのなら受けてみたい」――。そんなとき、どうやって自分が参加できそうな臨床試験の情報を探したらよいのだろうか。国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門データ管理部部長の福田治彦氏、同センター研究支援センター生物統計部部長の柴田大朗氏にインタビューした。


がん情報サービスのサイト「がんの臨床試験を探す」活用を
 「自分が参加できる臨床試験があるかどうかは、まず、担当医に聞いてみましょう。患者さん本人の進行度、体の状態、これまで受けてきた治療などを一番よく分かっているのは担当医だからです」。国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門データ管理部部長の福田治彦氏は、そう強調し、自分で探す場合には、国立がん研究センターのがん情報サービス「がんの臨床試験を探す」の利用を勧める。

 「がんの臨床試験を探す」は、がんの領域(部位)、都道府県、年齢などを指定すると、現在募集中のがんの臨床試験の情報の一覧が表示されるサイトだ。掲載されているのは、大学病院医療情報ネットワーク研究センター(UMINセンター)、日本医薬情報センター(JAPIC)、日本医師会治験促進センターに登録されている臨床試験。それから、厚生労働省が「先進医療」「患者申出療養」、医薬品医療機器総合機構が、「主たる治験」「拡大治験」として公表している臨床試験のうち、がんに関する情報だ。

 この連載のVol.1で触れたように、臨床試験は大きく、薬や医療機器の承認を得るために行われる「治験」と、よりよい標準治療を開発するための「研究者(医師)主導臨床試験」の2つに分けられる。「治験」は、さらに、製薬企業が医療機関に依頼して実施する治験と、医師主導治験に分類される。「がんの臨床試験を探す」は、日本人のがん患者が参加可能な治験と研究者主導臨床試験をほぼすべて網羅している。ただ、製薬企業が行う治験については、その情報が非公開で「主たる治験」にも入っていない場合は、一部掲載されていない可能性もあるという。

「開発後期」の試験を中心に探すのがポイント
 試しに「がんの臨床試験を探す」で、関東地方で20歳以上を対象に実施されている「大腸がん」の臨床試験を検索してみたところ、324件の試験情報が表示された。それらは、「開発後期」、「開発中期」、「開発前期」、「その他」と開発段階別に分類され、対象疾患名、試験名、試験の種類(介入研究か観察研究か)、実施責任組織名、対象年齢などが閲覧できるようになっている(写真)。試験名をクリックすると、各試験の担当者の問い合わせ先、適格性、試験の内容などが表示された。適格性の欄に、「選択基準」「除外基準」が書いてあるので、自分の状況が選択基準に入るかどうか確認してみよう。

写真 国立がん研究センターがん情報サービス「がんの臨床試験を探す」

 「治療法の選択肢として最も優先してほしいのは、あくまでも、現時点で最適な治療法である標準治療です。先進医療、臨床試験と聞くと、標準治療よりいいのではないかと思うかもしれませんが、これらは、まだ有効性や安全性が分かっていない治療法で、標準治療よりも効果が低かったり副作用が強かったりする可能性があります。もしも標準治療の次に考慮するとしたら、有効性や副作用などがある程度分かっている『開発後期』の臨床試験です。その情報を見て、参加できそうな臨床試験があったら、担当医に相談してみましょう」。「がんの臨床試験を探す」のサイトを担当している、国立がん研究センター・研究支援センター生物統計部部長の柴田大朗氏は、そうアドバイスする。

 治験、研究者主導臨床試験には、開発前期(第1相)、開発中期(第2相)、開発後期(第3相)の3段階があり、開発前期の段階で非常に強い副作用が出ることが分かって中止になる試験もある。開発後期であっても、効果や副作用の面で標準治療に勝ることが証明されなければ、その治療法が一般診療で使われることはない。臨床試験に参加するかどうかは、そういったリスクも理解した上で検討した方がいいだろう。

 ただ、「がんの臨床試験を探す」サイトでは、例えば、腎細胞がん、膀胱がん、前立腺がん、腎盂・尿管がん、陰茎がん、精巣(睾丸)腫瘍 の臨床試験の情報は一度に表示され、自分のがんの情報だけを検索することはできないなど、若干不便な面がある。柴田氏は、「徐々に、部位別の臨床試験情報が閲覧できるようにするなど、改良を加える予定です」と話す。

 「研究者主導臨床試験を行うがんの研究者の全国組織である日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)では、現時点での標準治療、JCOGで行っている臨床試験、国内の他組織で実施している主な検証的試験、適応外薬などの情報をまとめた「治療開発マップ」をホームページに掲載しています。16の専門領域別に、主ながんの種類ごとに、治療開発マップを作成していますので、標準治療や開発中の治療を確認するツールとして活用してください」。JCOGデータセンターデータセンター長も務める福田氏はそう話す。

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