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がん患者のための臨床試験の話

2011/10/25

がん患者のための臨床試験の話 Vol.3

実際に臨床試験に参加したら、どう進む?

福島安紀=医療ライター

 検査や診察がないときでも、胸痛、腹痛、だるくて耐えられない、湿疹などの有害事象が出たなど、すべての体調の変化は、臨床研究コーディネーターや医師に報告する必要がある。また、風邪やけがなど、ほかの病気も含めて、ほかの医療機関にかかるとき、新たな医薬品、サプリメントを使うときには、事前に臨床試験の担当医や臨床研究コーディネーターに相談して、治験を安全に進めるための指示を受けていく。

 「臨床試験に参加する際には、緊急時や夜間の連絡先を確認しておくことも大切です。特に、臨床試験に参加している患者さんには、その医療機関が24時間対応することになっています。何かいつもと違う症状が出たら、いつでもその医療機関の相談窓口に連絡してください」と榎本氏は強調する。

 臨床試験に参加すると、どこかに隔離されるのではないかと思っている人もいるようだが、多くの病院では、通常の治療や検査と同じ部屋で臨床試験が進む。治療は、外来で行う場合もあれば、入院して実施する場合もある。入院が必要になるのは、(1)臨床試験中に手術が実施される場合や治験薬の投与後、薬物の吸収、代謝、排せつ状況、有害事象の出現の有無を確認するために、頻繁に採血や尿検査などを行わなければならないとき、(2)入院が必要になるような命にかかわる重大な有害事象が出たときだ。

治験参加中に飲んではいけない薬とは
 治験では、治験薬と併用できない「併用禁止薬」がある場合が多い。併用してはいけないのは、(1)相互作用で治験薬の効果が増強・減弱されたり、副作用が強く出てしまうような医薬品、(2)治験薬と同様の効果を持つ医薬品である。同様の効果を持つ医薬品を併用できないのは、治験薬とその医薬品のどちらが効いたのか評価ができなくなるからだ。

 「ただ、併用禁止薬でも、それを使わなければ病状が悪化するなど患者の不利益につながる場合には、治験を中止して併用禁止薬を使用するという判断を行います。風邪を引いたり、けがをしたときも含めて、体調に何か変化があったり、今までと違う症状が見られたりしたとき、市販薬を含めて薬を飲んでよいかどうか迷うときなどは、些細なことでも医師や臨床研究コーディネーターに相談してください」と榎本氏は言う。

 もしも臨床試験を途中でやめたくなったら、臨床研究コーディネーターあるいは医師に「臨床試験への参加をやめたい」と伝えてもOKだ。途中でやめたからといって、その後、その医療機関で治療を受けられなくなるなど患者に不利になることは一切ない。

 重篤な副作用が出たり、診察の結果、医師がこれ以上臨床試験に参加し続けないほうがよいと判断したとき、被験者が検査や診察に通えなくなったときにも臨床試験への参加は取りやめになる。また、重大な有害事象が出て、試験そのものが中止になる場合もある。

 がんの臨床試験の場合、3〜5年以上という長期に渡って、予後を追跡調査する場合も多い。追跡期間中は、定期的に病院へ行って診察と検査、電話などで健康状態の確認を受けることになる。

 これまでは、臨床試験で自分が受けた治療が治験薬だったのかプラセボ(偽薬)だったのか、あるいは、臨床試験の結果、その医薬品が承認販売されたのかを知ることはできなかったが、最近では「可能な範囲で被験者やその家族には伝える方向になってきています」と榎本氏は話す。

 「臨床試験に参加してみたら、普通の診療とあまり差がなかった」「治験に参加している間は、臨床研究コーディネーターが相談に乗ってくれて心強かった」といった感想を持つ被験者もいる。不安や疑問はその都度、臨床研究コーディネーターや医師に率直に伝え、納得した上で臨床試験に参加するようにしたい。

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