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がん患者のための臨床試験の話

2011/9/27

がん患者のための臨床試験の話 Vol.1

臨床試験ってどんなもの?

福島安紀=医療ライター

 「一般的に治験の第1相試験は、健康な男性を対象に行われます。ですが、抗がん剤のほとんどは、がん細胞だけではなく健康な細胞にも影響する恐れがあるため、倫理的に健康な人には協力を求めにくいという事情があります。このため、抗がん剤の治験の多くは、最初から患者さんを対象に実施されます。第1相の段階で、患者さんを対象に、通常は第2相で行う適切な投与量と有効性の探索まで行い、第2相で、通常の第3相と同じように既存薬やプラセボと比較して、有効性や安全性を検証する試験を実施します。

 そこで生存期間の延長が認められたり、既存薬より副作用が少ないなどの効果や安全性が証明されれば、承認申請へ進む流れになるわけです。つまり、第2相までで通常の第3相までのことができるので、第3相は、より大勢の患者さんに使用した場合の安全性と有効性を確認する製造販売後調査として実施されることが多いのです」と榎本氏。

 ただし、がんの治療薬でも、細胞毒性のないホルモン薬などの場合は、第1相では健康な人に投与して、患者を対象に第2相と第3相を終えてから承認申請を行う場合もあるという。

 いずれにせよ、1つの新薬が開発されるまでには、かなりの年月がかかる。日本製薬工業協会(製薬協)によると、薬の候補になりそうな物質を見付ける基礎研究から始まり、非臨床試験である動物実験を経て有効性や安全性が確かめられ、第1相から第3相(場合によっては第2相まで)試験を経て、承認、販売されるまでには、およそ9〜17年かかる(図1)。

図1 新しい医薬品ができるまでの流れ ※クリックして拡大表示(参考:日本製薬工業協会ホームページ)

 特に第1相の段階では、投与される物質が医薬品になるのか、毒性が強いために消える運命にあるのかは全く分からない。米国のデータだが、第1相試験に入ったがんの医薬品候補のうち、米国食品医薬品局(FDA)への承認申請にこぎつける薬はたった5%しかない(図2)。まず、第1相の段階で、半数が開発中止になる。その後、何とか第3相試験までたどり着いても、薬の有効性や安全性が証明されなければ開発が中止される場合もある。

図2 臨床試験に入った医薬品候補がFDA申請に至る確率 ※クリックして拡大表示(出典:Nat Rev Drug Discov. 2004 Aug;3(8):711-5.)

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