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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2013/11/5

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第14回

遺伝カウンセラー●遺伝によるがんのスペシャリスト

福原麻希=医療ジャーナリスト

 がんの闘病中、患者や家族の治療や療養のサポートをしてくれるエキスパートたち。第14回は「遺伝カウンセラー」を取り上げる。「自分のがんは遺伝によるものかどうか」と不安な場合、遺伝学が専門の「遺伝カウンセラー」に相談するとよい。詳しい知識や今後の対策について助言を受けられる。今回は四国がんセンター家族性腫瘍相談室の金子景香氏から、エピソードなど、詳しく話を聞いた。


遺伝カウンセラー Profile
●遺伝カウンセラーとは
臨床遺伝専門医と連携しながら、▽遺伝性疾患や先天異常、遺伝子検査や染色体検査などに関する情報提供▽心理的・社会的支援▽当事者の自律的な意思決定のサポートをする。
日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で「認定遺伝カウンセラー」の資格を付与している(*)
●どこにいるの?何人いるの?
病院・診療所、大学、企業
現在、140人の認定遺伝カウンセラーがいる。
●遺伝カウンセリング料は?
自由診療のため、個々の病院が料金を設定している。1回当たり3千〜1万円が多い。
●職能団体
認定遺伝カウンセラー協会
http://plaza.umin.ac.jp/~cgc/index.html
*出典:『チーム医療を成功させる10か条 現場に学ぶチームメンバーの心得』(福原麻希著、中山書店

 がんは日本人の死因のトップにくるありふれた疾患になり、同じ家系にがん患者が数人いることは珍しくない。だが、がん患者の約1割には「家族性腫瘍[(1)生活環境や食事などの生活習慣によって、特定の臓器のがん患者が複数人いる、(2)遺伝的要因が強く関与して、がんになってしまう場合]」による発症が見られる。今回は家族性腫瘍の中でも(2)の遺伝的要因が強く関与する「遺伝性腫瘍」について、取り上げる。

 「遺伝性腫瘍」は、3点の大きな特徴がある。
(1)若年(がんの種類によるが、一般的には20〜50代)で発症することが多い。
(2)血のつながりのある家族や親戚の中に同じ種類のがん患者が3人以上いることが多い。
(3)1人の患者がいくつかの臓器のがんになりやすい。あるいは、同じ臓器に2回目、3回目のがんができることが多い。(乳がんになった乳房に新たながんができる。両方の乳房に乳がんができる。両方の眼に網膜芽細胞腫ができる、など)

 おもに、「常染色体優性遺伝(*)」という遺伝形式によって、親から子どもへ50%(2分の1)の確率で遺伝の可能性がある。遺伝していても、全員が発症するわけではない。
 遺伝が関与しているかどうかは、血液を採取する遺伝子検査を行うことでわかる。

 だが、「遺伝子検査を受ける」、あるいは「受けない」ということは、当人だけでなく、家族や親族に大きな心理的・社会的影響をもたらす。そこで、遺伝子検査を受ける前、あるいは、遺伝子検査を受けない場合でも、「遺伝カウンセリング」による情報提供と相談支援を受けることが役に立つ。

 遺伝カウンセリングは、当初、小児の先天異常(ダウン症などの染色体異常、体や臓器の先天的な形態異常など)など小児科領域や、妊娠に関わる産科領域(出生前診断・着床前診断・高齢出産・習慣流産など)で始まった。

 遺伝を含む家族性腫瘍に関するカウンセリングは、90年代半ばから、首都圏のがん専門病院や大学病院の専門外来で取り組まれたという。

 四国がんセンターでは、2000年に家族性腫瘍相談室を設置し、2009年からはさらに充実させるため、専任の遺伝カウンセラーを配置した。遺伝カウンセラーがメンバーになることで、本格的な遺伝カウンセリングを実施できるようになった(図1参照)。

 特に乳がん、大腸がんで入院している患者には、遺伝カウンセラーが病棟の面談室で「家族や親戚に、がん患者がいるか」などと聞き取ることをルーティンワークに組み入れた。卵巣がん患者も、その可能性がありそうな場合は遺伝カウンセラーにつなぐ。

 他の臓器のがん患者でも、外来でがんと遺伝について不安を口にしていたら、医師が遺伝カウンセラーとの面談を勧めるようにしている。

 遺伝カウンセラーが聞き取った情報を、家族性腫瘍相談室のチームメンバーが月に一度のミーティングで遺伝性かどうかのリスクや、その高さ低さを評価する。同センターの家族性腫瘍相談室のチームメンバーは、5つの診療科の医師(乳腺外科・消化器外科・消化器内科・婦人科・泌尿器科)、看護師、臨床心理士、遺伝カウンセラーの4職種14人(写真参照)。

 その後も、遺伝カウンセラーが窓口になり患者に情報を提供したり、そのときどきで必要な職種につないだりする。



*常染色体優性遺伝…染色体の中には両親から受け継いだ遺伝子が対になっている。片方の遺伝子に変化があるだけで病気が発症することを「優性遺伝」、両方の遺伝子に変化があるときに病気が発症することを「劣性遺伝」という。

図1 四国がんセンターにおける家族性腫瘍診療の流れ

四国がんセンターの家族性腫瘍相談室のチームメンバーは14人。
5つの診療科の医師(乳腺外科・消化器外科・消化器内科・婦人科・泌尿器科)、看護師、臨床心理士、遺伝カウンセラーからなる。

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