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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2013/1/8

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第12回

臨床検査技師●細胞や血液から体内の状態を読み解く

福原麻希=医療ジャーナリスト

 「がんができたかどうか」は画像検査によって異物(腫瘍など)の有無を把握する。それが良性か悪性かどうかは、血液検査や細胞診で判別する。最終的には病理検査で診断する。

 がんと診断されている場合は、おもに、再発・転移の早期発見や治療後の体調管理などに必要な検査データを出してくれる。例えば、血液検査を受け続けることで、画像検査で見えてくる前の小さながんでも数値に異常が現れ、再発がわかることもあるそうだ。
また、治療後は肝機能、腎機能、心機能などの管理が必要になる。

 さらに、化学療法ではいろいろな副作用が起こるので、次も治療を続けるかどうか検査データなどから判断することになる。特に、医師は次の4点を考慮するという。 
1.白血球数=3000μL以下では、カゼなどの感染症に罹りやすくなる。
2.血小板数=5万/μL以下になると出血しやすくなる。
3.AST、ALTなどの肝機能検査=基準値を超えている場合、副作用による肝臓のダメー 
 ジを考え、化学療法を一時中断し、肝機能の改善をすることがある。
4.クレアチニン、UNなどの腎機能検査=基準値を超えている場合、副作用による腎
 臓のダメージを考え、化学療法を一時中断することがある。治療が必要になることもある。
*注)白血球数と血小板数がどのくらいになると化学療法を中断するかは、医師が症例を診たときの判断による。

【中央検査室】
検体はバーコードによって管理され、検査の進行状況が確認できる。

どんなに機械化されても、人間の頭脳や判断は必要

 臨床検査技師が患者と接するのは、血液検査で血液を採取する時と、超音波検査でプローブを動かしながら異常があるかどうか確認する時だ。

 入院中のがん患者の場合、何度も注射針を刺していると、血管が収縮してしまい硬くなりやすい。そんな時は、注射針が刺さると痛みを感じる。「注射針を見ると体が緊張するからです。深呼吸するとリラックスして、注射針が皮膚に入りやすくなります」と井上氏は言う。

 近年、検査の検体の分析は機械化が進んでいて、同病院中央検査室でも118の検査項目に対して、9種類16台の機械が動いている。機械は大量の検体を迅速に正確に分析・判定できる。

 それでも、中央検査室では毎日17人(日によっては18人)が忙しく働く。こんなに機械化されているにもかかわらず、どうして人間も必要なのか。「それぞれの検体で異常値が出たとき、そのデータが本当に正しいか判定することも、臨床検査技師の大切な仕事です」(井上氏)

 つまり、「機械が測定した結果、異常を示したから」と機械任せにするのではなく、臨床検査技師は(1)どうしてこの検査値は異常を示すのか(2)他の検査項目の数値との整合性や、前の検査結果からの変動が許容範囲内か(3)患者(利用者)の身体の中の因子や治療の影響を受けているのではないか──などを考えながら1つ1つチェックしていく。

 例えば、(3)の場合、いくつかの腫瘍マーカー測定で使用する試薬は「マウス抗体」を原料にして製造されているため、マウス・ネズミ・ラット・ハムスターなどにアレルギーを持っている方は病気でなくても、検査結果が異常値として出る場合がある。

 さらに、機械が測定を間違うこともある。「機械に『絶対、大丈夫』はありません。いつでもエラーを出す可能性を秘めているため、人間が機械を監督する必要があります」(井上氏)。機械には、基本的にはエラー検出機能があり、発生すると測定をやめてしまう。だが、微細な異常の場合、測定は停止せず、検査値が異常を示すこともある。そんなときは、臨床検査技師が専門性と経験値で見極め、いろいろな方法で測定をやり直す。

 検査結果はこうしてデータとなり、医師に報告され、治療に活用されていく。臨床検査技師が、毎日、このように数値を大切に扱っていると知れば、私たちの検査結果を見る意識も変わってくることだろう。

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