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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2013/1/8

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第12回

臨床検査技師●細胞や血液から体内の状態を読み解く

福原麻希=医療ジャーナリスト

 がんの闘病中、患者や家族の治療や療養のサポートをしてくれるエキスパートたち。第12回は「臨床検査技師」を取り上げる。身体の不調の原因を探り出すために、多角的に検査を受けた時、離床検査技師はどのように検体(検査材料)を処理し、異常値や悪性と判定していくのか。その流れや専門職のスキルを紹介する。


臨床検査技師Profile
●臨床検査技師とは?
病院の検査では、身体から採取した血液・尿・痰・組織・細胞などの検体、および、脳波や心電図などによって患者の身体から直接情報を得る。それらを医師、または、歯科医師の指示のもと、臨床検査技師は正確に分析・評価し、(医師や歯科医師に)報告することを仕事としている。本記事中に登場する細胞検査士は臨床検査技師のうち、細胞診をする(細胞が悪性かどうかを見極める)検査技師のこと。

●どこにいるの? 何人いるの?
病院の検査室や病理部、検診センターなど。
病院に所属している臨床検査技師は約4万7000人(2008年現在、「厚生労働省医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」)

●相談料は?
臨床検査技師は、患者や利用者が検査について質問をしたら説明してくれる。その際に支払いは発生しない。ただし、検査結果の解釈や診断は医師の仕事になる。

●職能団体
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
http://www.jamt.or.jp/index.php

日本細胞診断学推進協会細胞検査士会
http://www.ctjsc.com/

 私たちの身体には約60兆個の細胞があると言われる。それほど膨大な数にもかかわらず、どんな人が、どのように、がん細胞を見つけるのだろうか。

 がんが疑われる臓器から切除された組織や採取された細胞は、細胞検査士が顕微鏡を通して「良性か悪性か」見分ける。細胞検査士とは臨床検査技師の国家資格を持ち、さらに、日本臨床細胞学会の認定を持っている職種だ。
例えば、乳がんが疑われる場合は、「穿刺吸引細胞診」を行う(詳しくは、「動画で学ぶ穿刺吸引細胞診」を参照)。

柳田裕美氏(左)
1970年生まれ。東京文化医学技術専門学校(現:新渡戸文化短期大学)卒。1992年昭和大学病院に入職後、1993年から現職。92年臨床検査技師(国家資格)取得、97年細胞検査士認定取得。99年に国際細胞検査士の資格も持つ。

病理部技師長:片山博徳氏(右)
1960年生まれ。東洋公衆衛生学院卒。1982年日本医科大学老人病研究所に入職後、94年から現職。82年臨床検査技師(国家資格)取得。93年細胞検査士認定取得。99年国際細胞検査士の資格も持つ。

日本医科大学附属多摩永山病院では、1985年から病理部の支援の下、検査を受けた当日の数時間後に検査結果を出す体制を整えている。検査結果が早めに分かることで、その後の治療のスケジュールも早めに立てられるのがメリットだ。

 このように当日で細胞診の結果を出すために活躍しているのが細胞検査士だ。同院乳腺外科講師の横山正医師(消化器外科・乳腺外科・一般外科担当)および、病理部技師長の片山博徳氏、柳田裕美氏から詳しく話を聞いた。片山氏は細胞検査士の資格を取得してから19年目、柳田氏は15年目になる。

細胞診の判定は患者の人生がかかる

 町田市在住の山田武雄さん(80歳)は、4年前、乳がんと診断され、切除手術を受けたことがあった。男性で乳がんになる人は女性患者の1%と言われるほど少ないものの、一定の割合で見られる。山田さんは術後2カ月に一度、フォローアップと投薬のために乳腺外科外来を受診していた。だが今回、皮膚科で4年前と同じ左胸に小さなグリグリとした感触のものがあると指摘され、精密検査を受けることになった。

 横山医師が山田さんの胸部を触診後、超音波検査をしたところ、まだらで不均一な像が見えた。大きさは小豆大程度だった。局所再発の疑いがある。このため、次に穿刺吸引細胞診を受けてもらった。

【染色】
細胞診について報告した医学者の名前を取って「パパニコロウ染色」という。

 検査当日に結果を出すため、吸引された細胞はすぐに診察室の裏に待機していた細胞検査士の片山氏の持つスライドガラスに塗りつけられた。片山氏は細胞が変性しないように、その場で95%アルコールに浸して固定させると、すぐ病理部に運んだ。

 細胞は無色透明なので、顕微鏡で識別するために染色する。山田さんの細胞も紫、緑、オレンジの3色に染まった。細胞の核は紫色で示される。がん細胞かどうかは、核の大きさ・形・染まり方のほか、細胞の大きさ・形・並び方などで見極める。わかりやすいものはスライドガラス(標本)1枚5分程度で判定する。

 山田さんの細胞診は、柳田氏が担当した。顕微鏡で見たところ、細胞の大きさや、核のきゅっとした小さい丸い形は正常のように見えた。が、細胞同士の並び方が正常よりバラバラだった。柳田氏は「ちょっと、おかしい」と気づき、患者の前回の手術時の組織標本と報告書を探し出した。今回の判定の参考にするためだ。

 前回の手術時、「悪性」と診断された標本を顕微鏡で観察したところ、やはり、もともと山田さんの乳がんの細胞の核は小さめで形の変化に乏しいタイプとわかった。

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