このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

こんなとき、このエキスパートのもとへ

2012/7/10

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第10回

薬剤師●薬物治療のスペシャリスト

福原麻希=医療ジャーナリスト

西田さんプロフィール
1978年生まれ。名城大学薬学部卒。大同病院、名古屋逓信病院勤務を経て、2007年から現職。2011年緩和薬物療法認定薬剤師認定取得。

体の症状だけでなく、気持ちややってみたいことも話してください

 西田さんは血液内科の病棟を担当している。薬剤師は患者一人一人に対して、必要な治療薬を、一番適した時間帯に投与できるように準備し、何事も起こらず完遂させることが最も大切な業務。そのため、日々、工夫を繰り返す。

 40代の男性患者Bさんは白血病(血液細胞のがん)と診断され、造血幹細胞移植をすることになった。造血幹細胞移植とは、赤血球や白血球、血小板を生成する「造血幹細胞」を、ドナー(細胞の提供者)の骨髄から移植する治療法をいう。移植前には、がん細胞の死滅とともに、レシピエントの体の拒絶反応を抑制するために大量の放射線治療と抗がん剤治療を受ける。Bさんも移植前から、全身への放射線治療と抗がん剤のシクロホスファミドを受けたところ、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少、貧血)、吐き気・嘔吐、味覚障害、食欲不振、下痢、脱毛などの副作用が起こった。

 特に、つらかったのは、全身の粘膜にただれが起こったことだった。唇も口の中も喉も食道もお尻にも痛みが発生した。点滴で痛み止めを投与したり、モルヒネで鎮痛をはかったりするが、痛みを軽減することは難しかった。

 さらに、唇にただれができると、口を開くことがつらくなり、必要な薬が飲みにくくなる。歯磨きなどの口腔ケアもできないので、口の中で細菌が増殖し、それが全身に回ると、致命的になる可能性がある。

 「いかに、早く痛みを軽減し、薬を飲める状態にできるか。それは命に直結するので、時間との競争です」──まさに、薬剤師の腕を問われる場面だ。

 そこで、西田さんは点鼻薬のスプレーを思い出し、うまく開かない口だったが、スプレーを少し差し込んで、局所麻酔剤のリドカインの薬液を噴霧してみた。その結果、うまくのどまで薬が届いた。5分後、痛みが改善し、Bさんも薬が飲めるようになると喜んでくれた。

 「薬剤師が考えに考えて絞り出した知恵と、経験などに基づいた閃き、アイデアで、1つ1つ問題を解決していくよう努力しています」と西田さんは言う。

この記事を友達に伝える印刷用ページ

Back Number バックナンバー