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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2012/4/24

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第9回

がん看護専門看護師●患者に最も近い医療者

福原麻希=医療ジャーナリスト

 医師とのコミュニケーションに悩んだ時も一緒に考えていく。まず患者の話や悩みをゆっくり聞き、必要を感じたら患者と相談の上で医師に伝えたり、診察室に同席したりするなど調整をはかる。診察終了後に、奥出さんから補足説明を加えることもある。

 患者が医師には言えなかった話を、奥出さんが代弁することもある。その一言で、医師と患者の関係が変わったこともあった。

 「医師も患者さんの背景や気持ちがわかると、対応や態度が変わることがあるんですよ。例えば、『実はこの患者さんには生まれたばかりのお子さんがいて。3時間おきにミルクの時間で泣かれるので大変なんですよ』と話すことで、『そうなんだ』と医師もわかってくれる。『この患者さんは建築家として、こんな実績を残してきたんですよ』と伝えたら、『そうなんだ、立派な人なんだね』となったこともありました。こんな会話から、医師も診察室の患者の態度や気持ちを推し量ることができるようになります」

リンパ浮腫の治療をする奥出さん。治療前にメジャーで計測し、継続的に記録をつけている。

 人間関係とは、雑談などのコミュニケーションを通して相手のことを知るにつれてより深まっていくからだろう。奥出さんのようながん看護専門看護師が、いわゆる“クッション”的役割を果たしているわけだ。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院では、一日およそ4000人の外来患者が来院する。各科には200〜300人程度。専門看護師はその中から「この人は手を差し伸べた方がいいのでは」と思う患者をピックアップしていく。そんな患者は1日に来院する患者の1割以下という。

 だが、外来診察室や待合室の様子を見ながら、「ちょっと気になる」とアンテナが動いたら積極的に声をかけるようにしている。これは専門看護師のスキルの一つだ。

 「もちろん、患者・家族からのお声がけは大歓迎です」と奥出さんは微笑む。

 最近は、妊娠がわかったと同時に乳がんの診断も受け、おなかの赤ちゃんを堕胎するか、産もうか迷った女性患者に声をかけてサポートした。

 それは、医師の言われるまま治療が進んでいく中、奥出さんが手を挙げて「待った」をかけたような話だった。

妊娠中に乳がんになっても、出産できることもある!

 30代女性のAさんは、近所の大学病院で妊娠13週のおめでたを確認してもらった。たが、同時に左胸の乳がんが見つかった。さらに、がんはわきの鎖骨にも転移していた。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院でセカンドオピニオンを受けたが、やはり、乳がんの診断は確定。乳腺外科の医師はがんの進行を止めるため、強い抗がん剤を用いるFEC(*1)療法を提案した。その話を聞いた産科では、副作用で胎児が奇形になるおそれが強いため、Aさんには堕胎することを勧めた。

 そのとき、胎児はすでに19週目。堕胎手術可能な期間はあと2週だった。2人の医師からの治療方針の提案に、Aさんは黙ってうなずいた。

 乳腺科の医師はAさんの気持ちを心配し、奥出さんにフォローをお願いした。

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