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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2011/10/18

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第8回

作業療法士●「当たり前の動作」を取り戻すために

福原麻希=医療ジャーナリスト

 この日、腕を何度か上げることで、Aさんの肩関節の硬さや筋肉の緊張はほぐれ、痛みや突っ張り感が緩和された。リハビリ後、Aさんは「肩から背中にかけて、楽になったわ」と感想をもらした。このように、身体機能の可能な範囲を取り戻すリハビリの方法自体は、理学療法と似ている。

 乳がんの術後の痛みや不快感について、医師によっては「時間が経てば、自然に改善します」と説明する人もいる。だが島﨑氏は、リハビリ専門職種の視点からこう説明する。

 「確かに1カ月ぐらい経てば、腕は少しずつ上がるようになります。でも、それまでの間、特に女性は家事や育児をこなさなければならず、身体のつらさや動きにくさに悩まされることになります」。回復を待って放置していると、肩関節や周囲の組織が硬くなってしまい、早期にリハビリを始めた場合に比べて回復レベルが低くなってしまう。「特に、乳房を温存せず切除した方やリンパ節を切除した方は、リハビリを受けた方が早く生活しやすくなるでしょう」(島﨑氏)

 昭和大学保健医療学部講師の大澤彩氏は、乳がん患者約540人を対象に、退院後の日常生活動作について調査している1)。この結果、手術後平均5年が経過している人でも、約半数が「重いものを運ぶ」「ゴルフ、テニスをする」「きつめのビンの蓋を開ける」という動作に困難感を持っていることが分かった。

 「この傾向は手術だけではなく放射線治療を受けた人や、リンパ節を切除していない人にも見られました。長期的な生活の質を高めるためにも、早期からのリハビリを、強くお勧めします」と大澤氏は話す。

また店でたこ焼きを作りたい
 次に、進行乳がんの場合の作業療法の様子も紹介しよう。

写真1 手で物をつまむ練習。細い棒をつまんで穴に挿す。

 50代の女性Bさんは、今年の春、左乳房にがんが見つかり、胸筋温存乳房切除術を受けた。術中、センチネルリンパ節生検の結果が陽性だったので、リンパ節も切除した。

 術後、Bさんは、Aさんのように作業療法士とリハビリをしたところ、翌日にはうまく左腕を上げられ、顔を洗ったり、髪をブラシでとかしたりすることができるようになった。このときは、6回のリハビリを経て退院した。

 だが、夏になり、右手や右足に力が入らなくなった。物をよく落とすようになり、部屋を歩いていてもつまずくことが多くなった。医師の診察を受けたところ、脳にがんの転移が見つかり、麻痺が生じていたことが分かった。そこで、すぐに入院して放射線治療を受け、翌日から手足の麻痺を改善させるためのリハビリを開始した。

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