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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2011/3/9

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第6回

言語聴覚士●治療後の飲み込みづらさ、話しにくさはあきらめないで!

福原麻希=医療ジャーナリスト

 がんの闘病中に、患者や家族の様々な相談に乗ってくれるエキスパートたちを紹介する本特集。第6回は、「言語聴覚士」を取り上げる。食道がんや脳腫瘍などの治療後には、「食べる」「コミュニケーションをとる」という機能に障害を残すことがある。そんなときに頼りになるのが言語聴覚士だ。言語聴覚士にはいつ、どんなことが相談できるのか。そんな疑問にお答えする。


言語聴覚士Profile

●言語聴覚士とは?
生まれつき、あるいは、病気・事故・加齢によって「食べる」「話す」「聞く」「読む」「書く」「理解する」という機能が不自由な人に対し、その原因を分析し、生活の質を向上させるための訓練(リハビリテーション、以下「リハビリ」とする)を指導し、助言する人(国家資格)。
●どこにいるの? 何人いるの?
医療機関(大学病院や総合病院のリハビリテーション科など)、介護・福祉施設(老人福祉施設、障害者福祉施設、小児療育施設など)、学校(小学校のことばの教室、特別支援学校)、保健所などで働く。
言語聴覚士の国家資格保有者は約1万5696人(2009年日本言語聴覚士協会調べ)。
●言語聴覚士のいる医療機関を探すには?
日本言語聴覚士協会ホームページ(http://www.jaslht.or.jp/index.html)で検索可能
●相談料は?
医療機関の場合、診療報酬の自己負担あり(検査、リハビリ指導、日常生活などの助言)。

 がんに関して言語聴覚士に相談できる内容は、主に、「摂食・嚥下に関すること(食べる、飲み込む)」と「コミュニケーションに関すること(話す、聞く、読む、書く、理解する)」の2種類に分けることができる。今回は静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科副主任で言語聴覚士の神田亨氏に詳しく話を聞いた。

管理栄養士と連携しながら、食事をサポートする
 まず、摂食・嚥下障害への対応について、具体例を紹介しよう。摂食・嚥下障害を起こす可能性があるのは、舌がん、歯肉がん、口腔底がん、硬口蓋がん、頬粘膜がん、軟口蓋がん、扁桃がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、脳腫瘍。いずれも、病状の進行や手術・放射線・抗がん剤の治療後に生じる。

写真1 摂食・嚥下リハビリの様子 1対1の時間なので、時には神田氏の前で涙を流す人も。

 症状としては、主に「喉(のど)に食べ物がつかえる」「喉に食べ物が残っている感じがする」「唾液の分泌が少ない」「食べる時にむせる」「痰が多い」「喉に痛みがある」「喉に麻痺があり飲み込みにくい」などが見られる。

 治療後に食べづらくなった、飲み込みにくくなった場合、主に「飲み込む方法」「食事の時の姿勢」「食事の食べ方」などを言語聴覚士に、「食事の作り方」「上手な栄養摂取の方法」などを管理栄養士に教えてもらうことで、食事がしやすくなる。

 下咽頭がんになった70代の男性Aさんは、化学放射線療法を始めたところ、2週間目から喉に粘膜炎が起こり、痛みとむせでほとんど食べ物を飲み込むことができなくなった。そこで、胃ろう(胃から直接栄養を摂取するために腹部に開けた小さな口)を造設し、抗がん剤を1回、放射線治療を全部で35回受けた。

写真2 嚥下造影検査のX線写真 バリウムを入れた食べ物を飲み込んだ後、安全に食道に流れているかどうかを確認する。矢印の先の二股に分かれた右側が食道、左側が気管で、食べ物が気管に入りかけて誤嚥しそうになっている。

 治療終了後、約3週間経って、ようやく喉の粘膜炎が治まったので、Aさんは口から食べることを目標に、神田氏と「摂食・嚥下リハビリ」を始めることになった。

 リハビリの初回、嚥下造影検査(ゼリーなどの食べ物にバリウムを混ぜ、安全に飲み込めるかどうかをX線透視下で確認する、写真2)の結果、Aさんは誤嚥(飲み込んだ食べ物が気管に入ってしまうこと)のリスクが高いことが分かった。

 誤嚥すると肺炎を起こしやすい。そこで神田氏は、飲み込むときの、喉の筋力を強くするためのリハビリ方法を指導した。これは、仰向けになり、足の指が見えるように頭だけを起こすという動作を繰り返したり、その動作を5秒〜60秒間維持させたりするものだ。

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