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こんなとき、このエキスパートのもとへ

2011/1/18

こんなとき、このエキスパートのもとへ 第5回

診療放射線技師●放射線治療・検査の不安や質問に私たちが答えます

福原麻希=医療ジャーナリスト

 診療放射線技師には、医師の診療行為(病気の診断、治療の計画と決定)以外は相談できる。例えば、治療法の説明、それに伴う副作用、副作用が起こったときの対処法、一般的な治療成績などは、診察で忙しい医師に聞くより、実際に治療に立ち会う診療放射線技師の方が聞きやすいかもしれない。

 照射に伴う副作用や後遺症については、治療前に看護師が一通り説明する。だが、それをすべて覚えている患者は少ない。不安そうな表情の患者を見たら、諸澄氏は少しでも安心してもらうよう、生活しやすくなるよう、タイミングよく声を掛けていく。例えば治療後、照射部位の皮膚が赤くなることがある。そんなとき、諸澄氏はこう言う。

 「今が一番痛いですが、数日経ったら、よくなりますよ」
 「下着は柔らかい素材がいいですよ」
 「首に硬い襟のあるワイシャツは着ないでくださいね」
 「風呂に入ったとき、皮膚に書き込んだマーク(放射線を当てるときに目安にするために、皮膚に書き込む線)以外のところも皮膚が弱くなっています。ゴシゴシこすらないでください」

 患者は、治療現場で放射線技師と顔見知りになると、いろいろ質問してくるという。例えば、諸澄氏の場合、こんなことがあった。

 ある日、40代の男性が「毎年、地域のがん検診を受けてきた。それなのに、今回進行肺がんと診断されてショックを受けている。レントゲン写真でがんを見付けるのは難しいのか」と聞いてきた。

 諸澄氏は、患者の胸部レントゲン写真をじっと見て、紙に肺の模式図を描きながら、こう答えた。「小さな肺がんは、肋骨に重なった位置にあると、写真では見付けにくいんですよ」。男性はその説明を受けて、納得した表情で帰っていった。

 50代の乳がんの女性は、術後の再発予防のための照射が終わると、おそるおそる「どうですか。効いていますか」と聞いてきた。そんなとき、諸澄氏はこう答える。「皮膚表面のただれ具合から、効いていると思いますよ。大丈夫です。がんばりましょう」。治療現場では患者に前向きな言葉を掛けるようにしている。

 患者は不安や心配を抱えて、治療室に入ってくることが多い。「この治療で本当にいいんですか」と神経質な声で尋ねられたことも何度もある。そんなときは「何か気がかりなことがありますか」と諸澄氏は聞くようにしている。また、患者を決して急かさず、できるだけ時間のゆとりを持って接するようにしている。「納得してから、治療台に上がってほしいと思っているからです」(諸澄氏)。だが、「私の病状は、今後、どうなると思いますか」「余命はどのくらいだと思いますか」という質問には答えない。それは医師の診療範囲になるからだ。

緊張する患者をリラックスさせ、確実に治療を遂行する
 患者からの質問には、放射線被ばくに関することも多い。治療では大量に照射線を当てて、がん細胞を死滅させる。その際、正常細胞にも放射線が当たってしまうことは避けられないため、「確かに、二次がん発生の可能性はあります」と諸澄氏は言う。患者はがんの治療というベネフィットと、二次がん発生のリスクを天秤にかけて考えることになる。

写真1 頭頸部がんの照射を想定した場合。頭部に合成樹脂製のシェル(面)をかぶせて固定し、右側の四角のガラス窓から放射線を照射する。

 そこで、診療放射線技師はできるだけ二次がん発生の可能性を低く抑えるため、正常細胞にはできるだけ放射線が当たらないよう、治療時に工夫を重ねる。

 患者は慣れない放射線治療を受けるとき、どうしても身体が緊張しやすい。治療台で無理な姿勢のまま痛みやつらさを我慢すると、たった1分でも突然、身体を動かしてしまうことがある。照射野がずれると、正常細胞にも放射線が当たってしまう。

 そこで諸澄氏は、患者の気持ちを少しでも解きほぐそうと、待ち時間に読んでいた本の作家についてなどの雑談をする。その一方で、照射野をミリ単位で調節していく。「治療を受けるとき、少しでも姿勢などがつらいと感じたら、必ずその場で診療放射線技師に声をかけてください」(諸澄氏)

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