このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

がんに負けないお金の話

2013/2/26

がんに負けないお金の話Vol.10

サバイバーのために開発された新しいがん保険

福島安紀=医療ライター

 昨年、がんのサバイバー(体験者)や慢性疾患の人が加入できる「みんなのほすピタる 緩和告知型ガン保険」がアメリカンホーム保険会社から発売された。月々の保険料が3000円などと支払額が一律で解約返戻金がついたタイプも新たに登場して好評という。


 「がん体験者や既往症を持った方でも入れるがん保険を開発したのは、何人ものお客様からお電話で、『がんを経験した人が入れる保険はないのか』と繰り返しお問い合わせがあったことがきっかけです。がんは2人に1人がなる国民病です。統計を見てみると、早期発見が多くなってきた一方でがんの死亡率は下がっており、治る人が増えています。ということはがん体験者も増えているわけで、再発が心配だからがん保険に入りたいという方のニーズに応えられればと考えました」

 アメリカンホーム保険会社A&Hビジネス部ビジネス・ストラテジー室長の松井宣賢氏は、「みんなのほすピタる 緩和告知型ガン保険」の開発経緯をそう話す。

 
手術から2年たっていれば外来薬物治療中でも加入OK

 この保険に入れるのは、年齢が20歳から80歳までで、次の(1)〜(4)の健康告知事項(男性の場合は3項目)の答えがすべて「いいえ」の人。

<健康告知事項>
(1)最近6か月以内に病期を原因として、入院または手術を受けたことがある。または、最近6か月以内に、病気を原因として、医師による検査または検査を受け、入院または手術をすすめられたことがある。

(2)過去2年以内に、がんで入院したこと、または手術をしたことがある。

(3)過去2年以内に、がんまたは以下の病気と医師に診断されたことがある。(肝硬変・肺気腫・肺線維症・塵肺・再生不良性貧血・骨髄異形成症候群)

(4)(女性の場合)現在、次の症状がある。(乳房のしこり・乳腺から異常な分泌物や出血)

 がんの治療後経過観察中の人はもちろん、がんで外来薬物療法や放射線療法を受けている最中であっても、入院や手術を受けてから2年以上たっていれば加入できる。がん体験者のほか、糖尿病、腎臓病などの慢性疾患で一般のがん保険に加入できない人も対象だ。「昨年がんの手術を受けたので、あと1年たてば入れます」と、手術から2年経てばがん保険に入れることを励みにしているがんサバイバーもいるという。

 サバイバー向けのがん保険といえば、以前は、アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の「優しいがん保険」があった。しかし、現在は販売を終了しており、すべてのがん種のサバイバーが入れるがん保険はこの商品のみだ。


保障は入院治療と退院後の通院が中心

 基本的な保障の内容は、がんの再発や新たに別のがんになって、入院や手術が必要になった場合が中心。まだがんになったことがない人が入るがん保険は、告知を受けたときに100万円などまとまった支払われる診断給付金があるのが一般的だが、この保険にはそういった項目はない。

 入院日数に応じて支払われる入院保険金は、1日5000円(Aコース)、1万円(Bコース)、1万5000円(Cコース)の3コース。ただ、年齢によって基本保障だけでは選べないコースもある。

 Aコース、Bコースの保障内容と保険料の例をまとめたのが下の表だ。保険料は年齢と性別によって異なり、例えば、45歳男性でAコース終身型なら月額保険料が1907円、Bコース定期型で1020円、終身型で3814円、45歳女性でBコース定期型なら1262円、終身型で2455円。申し込みは郵送かインターネットだが、ネットを利用した場合、初年度の保険料が年間5000円割引になる。

 再発して通院治療が必要になっただけでは保険金は下りないものの、入院治療をした後180日以内の通院時には、45日間を限度に1日当たり入院保険金の半額が払われる。がんで手術が必要になったときの手術保険金と20日間入院した後の退院時に出る退院療養一時金は、それぞれ入院保険金の10倍(日帰り手術は3倍)の金額だ。オプションで、がん治療のために5日間以上入院したときに出る「入院治療一時金」や乳がんと子宮がん、甲状腺がんになったときに入院保険金と入院一時金が上乗せされる「女性のみ追加できる保障」をつけることもできる。
 
 ただ、すべての保険金は、保険期間開始(最初の保険料支払日の翌日)から1年以内は支払額が半額になる。

 保険期間については、10年ごとに更新する定期型と一生保険料が変わらない終身型がある。定期型は当面の保険料は低く抑えられるが10年ごとに保険料がアップする仕組み。例えば、55歳でBコースに加入した場合、10年後65歳の更新時には月額保険料が男性6972円、女性3319円と終身型を上回る。一生涯がんに備えた保障が欲しい人は終身型、当面の再発の不安に備えたい人は定期型を選ぶとよいだろう。

 「どのコースを選ぶかは、入院給付金を1日いくらにするかと毎月の保険料を考えて選ぶとよいのではないでしょうか。最も加入者が多いのは、Bコースで保険料が一生変わらない終身型です。複雑なことを考えずに保険料を一律月3000円にしたいなど、保険料を基準に選びたい方には、『みんなのほすピタる3,000緩和告知型ガン保険』もあります」と松井氏は話す。


無料で相談できる心のケアのサービスも
 
 『みんなのほすピタる3,000緩和告知型ガン保険』はやはり、がん体験者や慢性疾患を抱えた人が加入できる保険で、健康告知事項は上記の4項目。月額保険料を3000円に固定した終身型のがん保険で、下表のように加入時の年齢によって入院保険金などの金額が変わる。

 こちらは終身型のみで通院保障はなく、基本保障に5日以上入院した場合の入院治療一時金、不慮の事故での死亡保険金、10年間の特約保険期間満了時に支払われる「積立期間満了時返戻金」がついている。ほかに、保険料が4000円、5000円でもう少し保障内容が手厚いタイプもある。

 「がんの患者さんは経済的な不安だけではなく、社会的、精神的な不安を抱えていらっしゃいます。体験者でも入れるがん保険の設計にあたっては、『心のケア』サポートサービスなど付帯サービスの充実に力を入れました」と松井氏。

 緩和告知型ガン保険には24時間年中無休で電話による健康・医療相談が受けられる「安心ダイヤル24」、無料でセカンドオピニオンが受けられるサービスがついている。これらは、これまでの医療保険にもついているサービスだが、がん体験者が入れるがん保険には、さらに、「心のケアサポートサービス」があり、電話か面談で心の専門家によるカウンセリングが受けられるのが特徴だ。心のケアサポートサービスは、保険に加入すれば無料で受けられるので、再発の不安を相談する人もいるという。。

 同社は昨年、がん体験者やその家族、サポーターがたすきをつなぐ「みんなのMAEMUKI駅伝」を実施し、サバイバーの生きがい作りに取り組む。全国にたすきがつながり、のべ1104人が129日間かけて日本一周を果たした。今年も同じようなイベントを検討しているという。


乳がん体験者専用の自由診療保険

 一方、乳がんのサバイバーには、セコム損害保険の乳がん体験者向け自由診療保険「MEDCOM One(メディコムワン)」という選択肢もある。この保険では、がんの治療費を保険診療、先進医療、自由診療も含めて、入院治療なら診断料を含めて全額、通院治療なら5年間で1000万円まで全額保障されるのが特徴だ。乳がんの再発に限らず、ほかのがんになったときにも保険金は支払われる。

 対象は加入時の年齢が20歳から65歳で、乳がん体験者で再発・転移のない人。加入できる時期はがんの進行度(ステージ)によって異なり、手術からの経過期間がステージ0なら6カ月超、ステージIで1年超、ステージII 3年超、ステージIII・IVは6年超えていることが条件になる。

 保険料は、下記のように、年齢とステージが低く、手術からの経過期間が長いほど低くなる。例えば、乳がんのステージIで加入時に50歳、手術から1年6か月たっている場合は1万730円だ。

 保険期間は5年間の定期型のみで、その間、再発やほかのがんで保険金が支払われたとしても90歳まで自動更新できる。保険料は5年ごとに変わるわけだが、そのときには手術からの経過期間が増えているので保険料は上がらず若干下がる仕組みだ。ただ、手術から9年以降は、年齢に応じて保険料が上がる。再発時に未承認薬を使った治療や先進医療などを受けたい人に適した保険だろう。

 サバイバーが入れるがん保険は現在のところこの2社のみ。がんになったときには治療費以外にも出費がかさむ。保険で備えると共に、コツコツ貯金することも忘れないようにしたい。

この記事を友達に伝える印刷用ページ