表1に挙げた保険のうち、セコム損害保険の「MEDCOM(メディコム)」は、終身保障のタイプがなく、5年ごとに更新が必要だ。契約中にがんになったとしても、90歳まで自動更新できるが、年齢と共に保険料は上がっていく。
「現役で働いている間に万が一のことがあったら、できる限りの治療をして、がんから生還してほしいというのが、この保険を作った最大の目的なので、現役世代の保険料はかなり安く設定しています。所得にもよりますが、70歳以上になると高額療養費の自己負担限度額が下がりますから、高齢者にがん保険が本当に必要なのかという点も考える必要があるでしょう」。同社営業企画推進部担当部長の大野文吾氏はこう説明する。
高額療養費制度は、1カ月の医療費の自己負担が一定の限度額を超えた場合に、その金額を払わなくてよい、あるいは公的健康保険から戻ってくる制度。69歳以下の一般所得の人なら1カ月の自己負担限度額は約8万〜9万円だが、70歳以上(一般所得)になると外来+入院で4万4400円(世帯単位)、外来のみ1万2000円(個人単位)と軽減される。このように高齢者に手厚い公的制度も考慮した上で、必要な保険を選ぶ必要があるだろう。
死亡保障、医療保障と合わせて保険料は年収の1割未満に
月額保険料を考える上では、がん保険だけではなく、既に掛けている生命保険や医療保険なども合わせて、家計全体とのバランスを考える必要がある。
図1 生命保険、医療保険とがん保険の月額保険料の合計は貯蓄額よりも少なく
「家族全員の死亡保障、医療保障とがん保険の月額保険料の合計と、毎月積み立てている貯蓄額を比べて、保険料が多いのであれば見直しが必要です」と柳澤氏は強調する。
保険は人生で起こる不測の事態をすべて想定してかけられるわけではない。リストラ、事故、自然災害など、もしものときに備え、貯蓄も必要だ。「万が一に備えるための預貯金は、最低でも年収の3カ月分以上、できたら半年分は確保しておきたい」(柳澤氏)。
たとえその分が確保できていても、月々の収入が生活費と保険料で消えてしまって、全く貯蓄ができないのでは本末転倒。「身内にがんになった方がいると、心配の余り、がん保険に偏ってしまいがちです。でも、預貯金がないと、いざというときに、旅行などやりたいことをさせられなかった、という後悔につながることも。保険ですべてカバーしようとせずに、預貯金とのバランスを取りながら、自分に合ったがん保険を選んでほしい」と柳澤氏は話す。年間預貯金額は年収の1〜2割、生命保険、医療保険、がん保険の保険料の合計は、年収の1割未満に抑えるのが目安という。
まずは死亡保障、医療保障を含めて、どのような保険に入っているかを見直した上で、どのようにがんに備えるかを考えることが大切だ。
次回は、がん治療を経験した“サバイバー”が入れるがん保険を紹介する。
