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がんの経過観察はクリニックで受ける時代に

2010/2/1

がんの経過観察はクリニックで受ける時代に(2)

乳がんのフォロー(前編):ホルモン療法は診療所、画像診断は病院で

経過観察時に診療所を活用するためのポイント
●2人の主治医を尊重する
●ホルモン剤の副作用には対処法あり、きちんと症状を訴えよう
 乳がんは女性のがんの中で患者数が最も多く、2003年の調査では4万人を超えている。ただし、治療後の経過は良好で、5年生存率は70%以上になる。また、乳がん患者の6〜7割を占めるホルモン感受性乳がんでは、術後5〜10年間のホルモン療法が標準治療となっている。これらのことから、「ホルモン剤の処方のみの5分診療なのに、外来で数時間待たされる」という患者が全国的に多数生じているのが現状だ。

 前橋赤十字病院(前橋市)は、全国に先駆けて、2004年3月に乳がんの病診連携を開始した。同病院で手術、化学療法、放射線療法とホルモン剤の初期投与を受け、問題がないことを確認された患者の3〜4割が、連携先の診療所(計35人の医師)に紹介され、3カ月に一度の経過観察とホルモン剤の処方を受けている。患者としては、病院ではなく診療所を受診することで、他の疾患の診察と併せて、乳がんの経過観察を受けることができる。また、外来で長時間待たされるという不便も回避できるようになったわけだ。

 これまで連携先の診療所に移った約150人の患者のうち、再発疑いなどで予定外に同病院を受診した患者は8人(約5%)のみ。このうち、実際に再発していたのは4人。残る4人のうち2人はほかの病気が発見され、もう2人は精査の結果、異常は見付からなかった。

かかりつけ医により他の疾患の早期発見も可能に
 このように、病診連携の対象となる乳がん患者では、一般的に再発リスクは低い。一方、乳がん以外の病気になるリスクもあるため、乳がんの診察に特化したがん専門病院よりも、他の疾患の早期発見が行われやすい可能性もある。かかりつけ医に総合的な診察を受けることのメリットだろう。

 ただし、乳がんの再発リスクもゼロではないので、診療所でも、がん専門医同様、再発の早期発見が可能かどうかは重要だ。

写真 厚生労働省の谷水班(四国がんセンター統括診療部長の谷水正人氏らの研究班)が作成した患者向け資料

病診連携に関する患者向け資料「私のカルテ」。パスの説明、薬剤の飲み方から症状の自己チェックシートも入っている。
 実は、乳がんでは再発を鋭敏に反映する腫瘍マーカーが存在せず、「腫瘍マーカー(CEA、CA15-3など)が上昇しない再発が、再発患者の約半数を占める」(前橋赤十字病院乳腺・内分泌外科副部長の池田文広氏)という“落とし穴”がある。そのため、再発の早期発見には視触診が重要な役割を担っており、同時に、定期的なマンモグラフィなどの画像診断も必要だ。

 前橋赤十字院の病診連携では、マンモグラフィなどの画像診断は主に病院が担当し、視触診は診療所の医師が定期的に行う。ただし、標準治療として普及している乳房温存術を受けた患者の乳房は変形しており、術後の視触診を難しくしているという。そこで池田氏は、診療所の医師を対象とした勉強会を開いて、手術後乳房の視触診のやり方を指導したり、患者紹介時に、各患者の手術後の乳房の具体的な特徴を伝えるようにしている。同院の乳がんの病診連携に協力している診療所の医師は外科出身が多いため、病院勤務時代に乳がん診療に携わった経験や視触診の経験を持っており、問題なく経過観察ができているそうだ。

 一方、他のがん専門病院では、病院と同レベルで経過観察が行われるよう、一定レベル以上の技量を有する診療所のみを連携先としているところもある。このように診療所における診察の質を担保する努力が行われているのが現状だが、患者側も診療所を選ぶときの判断材料として、診療所医師の専門分野や過去の実績などを知っておくとよさそうだ。

(小板橋 律子=日経メディカル)

※この記事は「日経メディカル」2009年12月号特集「癌患者 引き受けます!」の内容を一部改変したものです。

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