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がんの経過観察はクリニックで受ける時代に

2010/1/26

がんの経過観察はクリニックで受ける時代に(1)

急増するがんサバイバー、専門病院はパンク寸前

 「予約しているにもかかわらず、外来で3、4時間待たされることはざら。しかも診察は5分もかからない」「遠くから1日がかりで何年も通院している」ーーがんの初発治療を終え、経過観察や再発予防のための投薬を受けている患者からは、このような病院への不満が聞こえてくる。

 早期発見例の増加や治療技術の向上により、がんの長期生存者が急増している。2015年末には、5年以上のがん長期生存者は308万人と、2002年の約2倍に達すると予測されている。一昔前までは「がん=死ぬ病気」と考えられていたが、今や初期治療を乗り越えたがん患者にとって、がんは、高血圧や糖尿病などといった、慢性疾患の一種と考えられている。

 乳がんのように、再発抑制のための術後薬物療法の期間が5〜10年に及ぶがんもあり、がん専門病院に通院している患者数は急増。診察を受けるために何時間も待たなくてはならない状況が全国各地で生じている。

 そこで近年、経過観察や簡単な投薬のみが必要な患者を、患者の自宅に近い診療所に紹介するための連携作りに力を入れるがん専門病院が増えている。診療所と連携することで、がん専門病院は、専門的な治療が必要な患者に人と時間を注力できるというメリットもあるためだ。

 四国がんセンター統括診療部長の谷水正人氏らの研究班(谷水班)が、2009年1月に全国のがん診療連携拠点病院などを対象に行ったアンケートでは、がん診療における診療所との連携のため、「クリニカルパス」(それぞれの病気の検査や治療、術後のリハビリ、経過観察などについて、標準化されたスケジュールを詳しくまとめたもの)を整備・運営している地域が、全国で既に63あることが分かった。都道府県単位で統一した連携パスの作成も進んでいる(図1)。

図1 全国的に自治体共通の地域連携パスの作成が活発化

患者にも待ち時間短縮などのメリット図2 がん病診連携に関する診療所医師の意識調査結果

 このようながん専門病院との連携に対して、「病院と診療所の連携(病診連携)は時代の流れ」として、多くの診療所も関心を寄せている(図2)。慢性疾患の1つとしてがんも診療できる、かかりつけ医が全国的に増えてきているのだ。

患者側にも、通院時間や待ち時間の短縮や、2人の主治医を持てるという安心感などのメリットがある(図3)。

図3 病診連携のメリットと課題(取材を基に編集部で作成)

 ただし、治療後の経過観察であっても、専門病院で診療を受けたいという患者や家族が少なくないのも現状だ。そのため、がん専門病院と情報を共有し、同レベルの診療を患者に提供するシステムとして、前述のクリニカルパスの整備が必須となっている。がん専門病院から診療所を紹介された際には、このパスを用いた情報の共有がきちんと行われていることを確認したいものだ。

 では実際に診療所では、どのような形でがん診療が行われているのか。次回からは、乳がん、胃・大腸がんなど、各種のがんごとに具体的な診療内容を紹介する。


(小板橋 律子=日経メディカル)

※この記事は「日経メディカル」2009年12月号特集「癌患者 引き受けます!」の内容を一部改変したものです。

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