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分子標的治療薬の副作用

2010/7/20

分子標的治療薬の副作用(3)

「手足症候群」対策は、足裏への刺激を避け初期症状に注意

 腎がんなどの治療に使われる2つの分子標的治療薬では、手の平や足の裏の皮膚が厚く角質化して腫れる副作用がしばしば現れる。ひどくなると痛みが出る。そうならない段階で食い止めることが大事だ。ここでも日常的なケアが重要になってくる。



 ネクサバールとスーテントは、手と足の皮膚に特徴的な副作用が現れやすい。足の親指付け根やかかとなど、日常的に重さがかかる部分の皮膚が厚く角質化し、やがて赤くなって腫れる。進行すると痛みが出て、水疱や亀裂ができたり、潰瘍状になったりする。これらの症状は「手足症候群」と呼ばれる(写真1、2)。

重みや圧力がかかる部分の角質化が特徴
 5-FU系など古くからある抗がん剤も、手足症候群と呼ばれる副作用を起こす。だが、国立がん研究センター皮膚科医長の山崎直也氏によると、「分子標的治療薬による手足症候群は、5-FU系のそれとは全く別の症状。専門医が見れば両者の違いは一目瞭然」だという。

 5-FU系の抗がん剤による手足症候群の特徴は、広範囲に広がる皮膚の赤み、紅斑(血管拡張や充血によって生じる赤みで、圧迫すると消える)、光沢を持つむくみ・水ぶくれ、点状またはまだら状の色素沈着など。薬剤を中止すると、これらの症状はゆっくりと回復する。

 一方、ネクサバールやスーテントによる手足症候群は、初期は限られた範囲にまだら状の赤みが出現し、重みや圧力がかかる部分が特に角質化していく。薬を飲み始めてから6〜9週ころまでに出現することが多く、服薬を止めると、症状も速やかに回復する。

 足の裏の角質化は、普段の生活でもよくあることなので軽視しがち。だが、外観はさほどひどく見えなくても、歩けないほど激しい痛みが出ることもある。そうなると、治療を中断せざるを得ないケースも出てくる。

 「臨床試験の結果から、これらの薬は中断せずに長く服用できた方ががんの治療効果が高いと考えられている。そのためにも、患者さんにはセルフケアをしっかりやってもらいたい」と山崎医長は話す。

刺激を避け、初期症状を見逃さない
 セルフケアのポイントは2つある。1つは、症状が出やすい場所を刺激しないこと。もう1つは、ちくちく、ひりひりするような初期症状を見逃さないことだ。

 まず1つめ。角質化の症状は、足裏の親指の付け根やかかと、手の親指といった、圧迫や摩擦の刺激を受けやすい場所に表れる。「角質化の発生や進行を防ぐには、できるだけ皮膚を刺激しないことが大事。靴や中敷を柔らかいものにして、靴下も締めつけないものを選んだ方がいい。そして、あまり長時間歩かないように」(山崎氏)。入浴後は手足にクリームを塗って保湿しよう。

 さらに、「できれば投薬開始前に、霜焼けや水虫などがないか皮膚科医に診てもらい、問題があれば治療しておいてほしい。角質が厚くなっている場所があれば、そこも処置してもらうといいだろう」と山崎氏は言う。その他の注意も含めて下表にまとめた。

 こうしたケアを積み重ねることで、できるだけ副作用の発生を遅らせ、発症しても悪化させないことが目標になる。

 もう1つのポイントが、初期症状。手足症候群では、通常、痛みや腫れといったはっきりした症状が出る前に、「しびれ」「ちくちくさすような感じ」「ピリピリするような感触」といった軽い症状が表れるという。

 「この段階で気が付けば、悪化する前に対応できる」と山崎氏。先に挙げたセルフケアに加えて、必要に応じて角質を柔らかくする薬剤や、腫れを抑えるステロイド外用薬などで治療する。

 「治療する側からみると、足に発生する副作用は“盲点”。意外と気付きにくい」と山崎医長は話す。特に、通院で治療している場合、診察室で素足になることはまずない。点滴治療ならベッドに横になるときに靴を脱ぐが、内服薬ではそんな機会もない。

 そのため、医師も看護師も気付かないうちに足裏の角質化が進み、痛みが出てようやく気づいたときには、投薬を中断せざるを得ない、というケースが起きかねないという。「この副作用は、患者さん本人の方が気付きやすいはず。まずは毎日、足をよく見てほしい」と山崎氏は話している。

(北村昌陽=ライター)

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