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分子標的治療薬の副作用

2010/6/29

分子標的治療薬の副作用(2)

分子標的治療薬のニキビに似た皮膚炎、ケアの基本は肌の清潔と保湿

 分子標的治療薬のうち、上皮成長因子受容体(EGFR)をターゲットにしたものが、肺がんや大腸がんの治療に使われている。これらの薬は、高率で皮膚に副作用の症状を引き起こす。ただ、こうした皮膚症状は治療薬が効いている表れでもある。副作用が出ても、症状を抑えながら抗がん剤治療を続けることを目標としたい。そのためには、自分で行うスキンケアと、皮膚の外用薬による治療が大切だ。



 上に挙げたような分子標的治療薬を使い始めると、最初に現れるのが、ニキビのような皮膚炎(ざそう様皮膚炎、写真1)と、かゆみ。発症時期には個人差があるが、薬を使い始めてから2週間ほどで出てくることが多い。顔面や胸、背中など、上半身に現れやすいという。3〜4週間目になると、皮膚の乾燥が起きる。爪の周りが腫れる「爪囲炎」が現れることもある(写真2)。

 タルセバの臨床試験では、ざそう様皮膚炎が98%、乾燥とかゆみは70%程度の人に現れた。症状の程度にも個人差はあるが、何らかの皮膚症状は出るものだと思っておいた方がいいようだ。

 顔や腕といった目立つ場所の症状は、できるだけ抑えたいものだ。また、かゆみが出てくると、無意識のうちにかきむしって傷になり、感染するケースもある。

 「副作用が出る前から肌のケアをしておけば、症状を和らげられる」。国立がん研究センター皮膚科の山崎直也医長はこう話す。薬の使用が決まったら、なるべく早い段階から肌のケアをスタートさせておきたい。

ケアの基本は肌の清潔と保湿
 スキンケアで行うことはシンプルだ。「まず肌を清潔に保つこと。そして保湿。この2点が基本」と山崎医長。実はこれは、一般的なニキビや乾燥肌の対策と同じだ。

 通常のニキビは、皮膚表面に住みつく細菌の作用で、毛穴が詰まって炎症が生じる。一方、EGFR標的薬の場合は、薬の影響で角質化した細胞が、毛穴をふさいで炎症を起こす。

 毛穴を詰まらせる原因は違うものの、「詰まって炎症を起こす」という現象は同じ。だから対策も、通常のニキビケアと同様、毛穴が詰まらないように肌を清潔にするアプローチが役に立つ。

 同じことは乾燥対策にもいえる。一般的な乾燥肌と同じく、EGFR標的薬の副作用の乾燥症状も、肌の角質バリアが傷ついて水分が逃げてしまう現象なので、クリームなどを使った保湿が有効だ。

 ただしEGFR標的薬の副作用のざそう様皮膚炎は、細菌とは無関係なので、「殺菌効果」をうたうニキビケア商品は意味がない。乾燥を助長する可能性もあるので、使わない方がいいだろう。

症状が強い場合は、ステロイド入りの外用薬で集中的に治療を
 まず「清潔」。顔や手は、石鹸をよく泡立て、泡でやさしく洗おう。「ボトル入りの液体石鹸で、ヘッドを押すと泡が出てくるタイプのものが使いやすい」(山崎医長)。肌を強くこすると、表面を傷付けて炎症や乾燥を招きかねないので、手のひらでなでるように。

 入浴時に体を洗うときも同様だ。ナイロンたわしやボディブラシは肌を傷付けやすいので、素手か、ごく柔らかいタオルなどを使うこと。洗髪では頭皮に爪を立てず、指の腹でなでるように洗う。

 そして「乾燥」の対策として、洗顔後や入浴後に、顔や体へ保湿用クリームなどを塗る。

 石鹸やシャンプー、クリームなどは一般的な市販品で問題ないが、刺激成分が入ったものはなるべく避けた方がいいだろう。

 副作用の出現は、医師にとっても重要な情報なので、症状が出てきたら担当医に伝えておこう。医師に直接話しにくい場合は、看護師や薬剤師に伝えても構わない。

 症状が強い場合は、ステロイド入りの外用薬で治療することになる。炎症を治める作用が強く、症状を和らげるのに効果的だ。ステロイドと聞くと「副作用が強い薬」といったマイナスイメージがあるかもしれないが、「集中的に使って症状を抑えてしまう方が、結果的に使用期間を短くできることが多い」と山崎医長は話す。自己判断で使用頻度を減らしたりしないことが大事だ。

(北村昌陽=ライター)

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