このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

分子標的治療薬の副作用

2010/6/22

分子標的治療薬の副作用(1)

従来の抗がん剤にはない、分子標的治療薬に特有の皮膚症状とは?

 がんの化学療法(薬による治療)を受けるとき、心配なのは副作用だろう。ここ数年、「分子標的治療薬」という新しい種類の抗がん剤が広く使われ始めたことで、今までなかったタイプの副作用が現れるケースが増えている。特に多いのが、皮膚に現れる症状だ。セルフケアで症状を和らげることも可能なので、早い段階から対策に取り組みたい。




国立がん研究センター皮膚科医長の山崎直也氏
 「分子標的治療薬」と呼ばれる抗がん剤は、1980年代から研究が始まり、2000年前後から実際の治療で使われるようになった。

 「分子標的」という名前の通り、このタイプの薬は、がん細胞を狙い撃ちにするように設計されている。従来の抗がん剤は、体の中にあるがん細胞と正常細胞を区別できないため、正常な細胞にもダメージを与えてしまう。これに対して分子標的治療薬は、がん細胞だけに存在する分子(または非常に多い分子)をターゲットにしてダメージを与える。こんな仕組みから、がん細胞の増殖だけを抑えて、副作用が少なくなると期待されていた。

 その代表例が、上皮成長因子受容体(EGFR)という分子を標的とした薬。EGFRは、細胞の表面にあるたんぱく分子で、細胞が増殖するときに重要な働きをする。正常な細胞にもあるが、がん細胞では圧倒的に過剰になっているケースが多いという。

 そのため、EGFRを狙った抗がん剤が近年相次いで開発され、治療の現場で使われるようになってきた。

皮膚症状の強さは「薬が効いている証拠」でもある
 EGFRを狙った抗がん剤が実際に使われてみると、がんに対する効果は期待通りだったが、副作用として、従来とは違うタイプの症状が現れることがわかった。皮膚に、ニキビのような皮疹や乾燥、炎症などが高率で現れるのだ。かゆみを伴うことも多いという(表1)。

 「皮膚の細胞にはEGFRが比較的多いので、症状が現れやすいのだろう」。国立がん研究センター皮膚科医長の山崎直也氏はこう話す。「命にかかわる症状ではないけれど、皮膚症状は見た目に直結する。特に通院治療をしている患者さんの場合、症状がひどいと生活に支障を来すこともある」

 ただし、がんの治療効果からみた場合、「皮膚症状は悪いニュースともいえない」と山崎医長は話す。「症状が強い患者さんほど、がんの治療効果が高いというデータがある」(山崎医長)。つまり皮膚症状が出るのは「薬が効いている証拠」ともいえるのだ。

 「従来の抗がん剤は、『皮膚に症状が出たら薬を止める』というのが基本的な考え方だった。しかし、分子標的治療薬では、この考えが当てはまらない」と山崎医長。薬は効いているのだから、何とかして皮膚症状の悪化を防ぎながら治療を続けるのが目標になるという。

 では、具体的に、患者はどんな対策を取ったらいいのだろうか。次回からは、「ニキビのような皮疹、炎症」と「手足の角質化」のそれぞれについて、スキンケアのコツなどを紹介する。

(北村昌陽=ライター)

《訂正》 2010.6.23に以下を訂正しました。
・表1の「パニツムマブ」「Vectibix」を「わが国では未承認」としておりましたが、同薬は商品名「ベクティビックス」として2010年6月15日に発売されました。お詫びして訂正いたします。

この記事を友達に伝える印刷用ページ