このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿

2011/10/4

日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿Vol.15

今、がん対策で起こっている“変革”

患者、現場、地域の声を、立場を越えて束ねよう

内田亮、埴岡健一=日本医療政策機構 がん政策情報センター

 09年10月のがんサミットでは、06年9月に最初のがん条例を制定した島根県の事例が、実際に条例を提案した島根県議会議員の佐々木雄三氏の説明によって、好事例として広く共有された。このことも、各地からの参加者が「自分の地域でも」という思いを強くする要因となった。

 島根県のがん条例は、患者さんや患者団体の要望を佐々木氏らが受け止め、議員提案で制定された。佐々木氏は、「なぜ東京で受けられる治療が、出雲では受けられないのか。東京で生活している人も田舎で生活している人も、命の重みに差はないはずだ」との、地元の患者さんである故・佐藤均さんの思いに動かされたという。また、佐々木氏は、がんサミットでの発表の直後には、全国の自分の所属する会派宛てに「がん条例の制定とがん対策の強化」を推奨する文書を送り、他県でがん条例制定を望む患者さんの支援も行っている。

 その後、愛媛県や岐阜県、秋田県などでも、患者団体・患者関係者の要望を議員が受け止め、議員発議の条例を提案するというように、島根県と同様の流れでがん条例が制定されている。愛媛県では、早期から「六位一体(ろくみ・いったい)」といわれるかたちで、患者関係者を中心に、議員、県庁担当者、医療提供者、メディア、地元企業が話し合いに参加して条例作りを進め、10年3月に条例が制定された。「がんサミットで他県のがん条例による成功事例を聞き、提言を決意しました。議員連盟発足から条例成立に至るまで、患者の声を第一に考えてもらえるよう、協働するパートナーとして患者ができることをしてきました」。後のインタビューで、患者関係者として条例作成を提案した松本陽子さんはこう語った。

 11年3月には、さらに4府県で条例が制定されたが、今回のがんサミットでは、川相一郎氏(大阪がんええナビ制作委員会事務局)、濱本満紀氏(NPO法人がんと共に生きる会事務局長)、森元一徳氏(大阪府健康医療部保健医療室健康づくり課)によって、大阪府のがん条例の制定プロセスと内容について、他にはない特色があることが説明された。「単なる理念をうたった条例ではなく、具体的な内容をたくさん盛り込んで、実効性を担保する条例となっています」。

 例えば、「がん登録の推進」では、同時に住民基本台帳法施行条例を作り、現在、住基ネットを活用して予後調査ができるシステムを開発中だという。また、個別がん対策として、肝炎肝がん、女性特有がん、小児がん、血液がんについて、それぞれ条文化しているのも特徴的だ。肝炎肝がん対策として肝炎ウイルス陽性者に対する相談支援・診療体制の充実や、小児がんの実態調査、白血病等の血液がんに対し有効な治療法である骨髄移植及び臍帯血移植を促進するなど、ここまで個別のがん対策を明記した条例は全国で初めてである。

表1 条例制定へのプロセスとその成果

 「私の地元でもがん条例がほしい」と考える人がよく抱く疑問がある。「条例には効果があるの?」「条例はどうやって作ればいいの?」「条例を作るだけでうまくいくの?」といったことだ。

 これまでのがんサミットで、こうしたよくある質問に、条例制定済みの地域の患者関係者、議員、行政担当者が経験から説明した。例えば、島根県健康福祉部医療対策課(当時)の小豆澤伸司氏は、「条例は、行政が積極的にがん対策に関わる起爆剤になりました」と語り、条例の効果を認めた。実際に条例の制定前後の予算を比較すると、制定後に大幅に増えるところがほとんどであり、条例に予算増額効果がある事実も確認されている。

この記事を友達に伝える印刷用ページ