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日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿

2011/9/21

日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿Vol.14

患者の声が医薬品開発や予算を動かす米国(後編)

患者に寄り添う医療者やボランティアたち

岩井万喜、埴岡健一=日本医療政策機構 がん政策情報センター

 このような学術総会でのプログラムだけではなく、ASCOでは恒常的な患者支援として、Cancer.net (キャンサー・ドット・ネット)というウェブサイトの運営や、それに付随したメールマガジンの発行も行っている。患者は、こうした媒体を通じて医師・専門家の監修を受けた信頼できる臨床試験関連情報などを受け取り、いつでも学ぶことができる。
 
 今回の学術総会では、2500以上の研究が採択され、発表された。こうした研究の多くに患者が試験対象者として参加している。すべてを合わせれば、膨大な数の患者が参加してこうした研究が成り立っていることになる。

医療者やサバイバーが臨床試験について解説
 では、患者はいったいどのようにして、臨床試験に参加しているのであろうか。今回の「米国研修2011」で、米国の名門病院の1つであるジョンズ・ホプキンス大学病院(メリーランド州ボルティモア市)を見学する機会を得た。

 同大学病院には、全米で59あるNCIが指定する包括がんセンターの1つである「シドニー・キンメルがんセンター」がある。その傘下の「エイボン財団乳がんセンター」は、患者支援が充実していることで全米でも有名な乳がん治療施設だ。

 米国では、治療を受ける患者にとって看護師が大きな役割を果たしている。患者に情報提供を行い、継続的な話し相手となる看護師を「ナースナビゲーター」と呼んでいる。ここの乳がんセンターのナースナビゲーターは、全員が乳がんサバイバー(経験者)だ。徹底的に患者の視点を重視するとともに、患者が職場復帰できることを身体で示しているのだという。「ナースナビゲーター全員がサバイバー?」と、思わず日本からの同行者と驚きと感嘆の声を上げてしまった。

サバイバーによる患者支援の仕組みを立ち上げたリリー・ショックニー氏と「米国研修2011」参加者(写真左から、五十嵐昭子氏、中川けい氏、北村周子氏)

 サバイバー・ボランティアという仕組みもある。同乳がんセンターでは、患者ごとに決まったサバイバー・ボランティアが付いて、“先輩”として、主に療養上の悩みや心のケアに対応しながら長期的に患者に寄り添う。現在、39人がサバイバー・ボランティアとして活動しているという。

 サバイバー・ボランティアはまず、ナースナビゲーターから患者との接し方などの研修を受ける。その後も3カ月に1回、臨床試験の実施状況やその結果について学ぶ集合研修など、継続的な教育を受けることが義務付けられている。

 「米国研修2011」に参加した五十嵐昭子氏(支えあう会「α」事務局長)は「日本では、自主的に参加してくれるボランティアの人に、ここまで時間を拘束した強制的な研修はできない。日本とは違って、ボランティアを希望する人が責任を意識してしっかりと活動していると感じた」と語った。

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