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日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿

2011/9/20

日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿 Vol.13

患者の声が医薬品開発や予算を動かす米国(前編)

臨床試験の設計から承認まで患者が関与し大きく貢献

岩井万喜、埴岡健一=日本医療政策機構 がん政策情報センター

 実は、米国でもここに至るまでには長い歴史があったそうだ。患者連携プログラムの部長ブレンダ・レブリン氏は、「30年以上前のFDAは閉鎖的だった」と振り返る。この状況を変えた大きな要因の1つが、1980年代エイズが流行し始めた際に、治療薬が迅速に審査・承認されなかったために、多くの患者が命を落としたとして社会問題化したことだ。この問題を機にFDAは患者や支援者との対話を始め、徐々に彼らを受け入れるようになった。

「患者代表が変化をもたらす」と書かれたFDAのバッグ

 その背景には、エイズ患者・支援者の努力があったという。患者や支援者は苦言や要望だけを口にするのではなく、医療や制度について猛勉強し、具体的で建設的な改善策の提案を行った。このエイズ患者・支援者の努力と功績が、患者代表がFDA担当官と同じテーブルで議論することを可能にし、FDAの姿勢を変えたのだ。現在、薬の承認プロセスへの患者参画のみならず、諮問委員会の情報が公開されるのも、承認に際し公聴会が開かれるのも、こうした歴史に起因するという。

 現在では、「患者代表委員の意見が議論の方向性や結論に与える影響は大きい」「患者関係者が開発の初期段階から参画することは、医薬品や機器の開発の活性化と効率化に貢献している」とFDAの資料に記載されるほど、患者参画の重要性が広く認められるようになった。

がん研究予算の増減のカギを握る患者の声
 ここからは、舞台をNCIに戻し、研究費について見ていきたい。

 前述の通り、NCIは、外部組織で行われている研究に国家予算の資金配分を行うファンディング・エージェンシー(資金配分機関)の機能を担っている。

 日本の厚生労働科学研究費のがん研究助成金の仕組みと似ているが、異なる部分がある。最も重要なポイントは、予算が疾病別・内容別に分類・整理されていることだ。このため、研究者でも患者でも、どの分野にどれだけ投資されているのか、その推移がどうなっているのかなどを、分かりやすく理解できるようになっている。

 この情報開示を担当している「がん科学研究補助金ポートフォリオ室」のリサ・クルーガー氏は「研究者から提出される情報を国民が容易に検索でき、内容の理解、研究の比較などをしやすくするために、用語の統一などに苦労している」と話す。

 こうした情報開示をしている背景には、患者を含めた国民の税金であるNCIの予算配分が適正であるか説明責任を果たすだけでなく、患者団体などが、状況を把握し意見を述べることができる基盤を整えるという意図もある。

 研修に参加した中川けい氏(NPO法人乳がん患者友の会きらら 理事長)は、NCIの情報開示の現状を目の当たりにした感想をこう述べる。「ここまで系統立てて情報開示されているのは素晴らしい。ここから得られる情報は、アドボカシー活動(政策提言活動)にすぐに活用できる。また、がん研究・臨床試験に対する国民の関心を高めることにも貢献していると思う」
 

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