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日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿

2011/5/24

日本医療政策機構 がん政策情報センター寄稿 Vol.12

がん患者・家族の痛みを和らげる策を探る

がん患者意識調査の結果から見えてきたこと

山口綾香、埴岡健一=日本医療政策機構 がん政策情報センター

 日本医療政策機構がん政策情報センターでは、がん患者さんやご家族を対象として、2010年11〜12月にがんの診断や治療に対する意識についてアンケートを行った(回答数1446)。アンケートの結果から、がん患者さんやご家族の「からだ・こころ・経済的な痛み」は依然として解消されず、緩和ケアのニーズが満たされていない可能性が明らかになった。アンケート結果の一部を、寄せられたコメントも交えながら紹介する。


山口綾香(やまぐち あやか)
NPO法人 日本医療政策機構 市民医療協議会
大学院修了後、2009年より日本医療政策機構 市民医療協議会にて、がん患者意識調査など情報企画業務に従事。

 「緩和ケア、つまり痛みを取り除くことにもっと力を入れてください。苦痛を取ってください」(肺がん患者の遺族、60歳代、男性)――これは、当機構が実施したアンケートに寄せられた回答者のコメントの1つである。

 がん領域において、緩和ケアは特に重点の置かれている分野である。国のがん対策の5カ年計画である「がん対策推進基本計画」では、「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」という目標が掲げられている。また、がん対策の中で特に重点的に取り組むべき課題として「治療初期段階からの緩和ケアの実施」が挙げられている。

 2010年12月には、国のがん対策について話し合う「がん対策推進協議会」において、緩和ケアについて集中的に議論する「緩和ケア専門委員会」が立ち上げられた。医療提供者や患者関係者による活発な議論が行われ緩和ケアの充実につながる動きとして期待が寄せられている。

「緩和ケア」へのニーズ、十分に満たされていない可能性


埴岡健一(はにおか けんいち)
NPO法人 日本医療政策機構 理事
日経ビジネス記者、ニューヨーク支局長、副編集長などを経て、1999年骨髄移植推進財団事務局長。08年より日本医療政策機構市民医療協議会共同議長、がん政策情報センター長。厚労省がん対策推進協議会元委員ほか。

 今回のアンケートでは、がん患者さんやご家族が緩和ケアのさらなる充実を求めていることを示唆する結果が出ている。

 まずは、緩和ケアに関連する結果を見ていきたい。なお、本アンケートにおいて緩和ケアの定義は、「がんそのものの痛みや治療による“からだの痛み”や不安や落ち込みなどの“こころの痛み”等を和らげること」とした。

 アンケート回答者のうち、緩和ケアを「受けたことがない」と回答したのは79.0%。そのうち、「受ける必要がなかった」人は57.8%、「受けられると知らなかった」人は28.8%、「受けたくても受けられなかった」人は9.9%であった(図1)。この結果から、緩和ケアを受けたことがない人のうち、約4割の人が緩和ケアのニーズを持っていたが実際には受けられなかった可能性が読み取れる。

 「受けたくても受けられなかった」と回答した人に対して、その理由を聞いた(複数回答可)。回答では、「緩和ケアに関するサービスについての情報がなかった」(65.5%)、「こころの痛みについて、求める緩和ケアを提供する病院内スタッフがいない」(50.4%)「こころの痛みについて、求める緩和ケアを提供する場所・機関がない」(45.1%)といった理由が上位に挙がった。この結果からは、緩和ケアに関する情報不足と、心のケアを提供する体制の整備が不十分であることがうかがえる。

がん拠点病院でありながら緩和ケアチームに常勤の精神科医がいない。緩和ケア外来が事実上ない。他院で緩和ケア外来は受け入れてもらえない(どこも自院の患者のみ)というのを何とかしくれないと、必要になったときの不安が大きい(卵巣がん患者・経験者、40歳代、女性)。

図1 「緩和ケア」のニーズが満たされていない可能性がある

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