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レポート

2018/6/20

第26回日本乳癌学会学術総会・患者セミナーより(第3回)

トリプルネガティブ乳癌に「遺伝子の修理を邪魔する薬」が登場する

癌と診断されたら標準治療と臨床試験を確認してほしい

八倉巻尚子=医学ライター

 積極的な技術開発により乳癌治療は常に変化している。診断精度の向上で癌が小さいうちに発見されるようなり、乳房を切除した場合も再建術によって整容性を保つこともできるようになってきた。放射線照射による晩期の副作用も以前に比べて軽減している。多くの新薬が登場して一人一人に合った治療法を選べるようにもなっている。次々に加わる新しい情報をアップデートすることは医療者にとっても患者にとっても大変だが大切なことだ。

 5月に京都で開催された第26回日本乳癌学会学術総会では、乳癌の診断や治療について最新の知識を共有することを目的に、患者セミナー「皆で考えよう、未来の乳がん医療」が開催された。その中から、手術療法、放射線療法、薬物療法について連載で紹介する。第3回はトリプルネガティブ乳癌の薬物療法。


 薬物療法については、トリプルネガティブ乳癌とホルモン感受性乳癌・HER2陽性乳癌の2つに分けて講演が行われた。トリプルネガティブ乳がんを担当したのは、兵庫県立がんセンター腫瘍内科の松本光史氏。現在の治療法と、今後期待されている治療としてPARP阻害薬免疫チェックポイント阻害薬について解説した。

標準治療とは「いまできるベストの治療」

 「乳癌は単一の病気ではなく、大きくホルモン受容体陽性、HER2過剰発現あり、トリプルネガティブに分類される」と松本氏は述べ、まず乳癌のタイプとその標準治療について説明した。ホルモン受容体陽性は乳癌全体の70-80%、HER2過剰発現のある乳癌は20-25%、トリプルネガティブ乳癌は15%程度である。トリプルネガティブ乳癌とは、ホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)が陰性で、HER2過剰発現もない状態の癌のことだ。

 乳癌治療にはアンスラサイクリン系薬剤、タキサン系薬剤、フッ化ピリミジン系薬剤、エリブリンなどが使われている。トリプルネガティブ乳癌の手術前後(周術期)において、アンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬剤が標準治療となっている。そして松本氏は、「標準治療とは現役の世界チャンピオンで、いまできる治療のうちベストの治療」と説明した。

 そのほかの選択肢としては、ドーズデンス(dose-dense)治療という治療法もある。投与間隔を短く「通常3週ごとの投与を2週間隔に短縮」することで抗腫瘍効果を高めるもの。乳癌診療ガイドライン2018年版でも、再発リスクが高くかつ十分な骨髄機能がある患者に術後化学療法として推奨されている(CQ11)。また、アンスラサイクリン系、タキサン系薬剤による「術前化学療法後、顕微鏡で見て浸潤癌が残存している場合は、カペシタビンを2週内服1週休薬で半年間」投与する方法もある。これは日本の研究グループが行った試験で良い結果が出ている(Masuda N, et al. N Engl J Med 2017)。ただしこの2つの治療法は「保険適用の取り扱いが微妙」で、施設によっては行っていない場合もあるようだ。

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