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レポート

2017/10/2

「がん対策推進基本計画(案)」を読んで、パブリックコメントを書こう

福原麻希=医療ジャーナリスト

 「第3期がん対策推進基本計画(案)」[以下、第3期計画案]が発表になった。がん対策は、がん患者・家族にとって治療を受けるうえでも、療養生活においても、とても重要なもの。一度は目を通してみるとともに、気づいたことがあれば積極的にパブリックコメントを書いてみよう。第3期計画案の概要とともに、パブコメの書き方のアドバイスも伝える。


がん対策推進基本計画は自分の治療や療養の方向性を決める
 「がん対策推進基本計画(以下、基本計画)」とは、国のがん対策の基本方針と目標、および重点的に取り組むべき課題を示したもの。この計画をもとに、予算が組まれる。基本計画は、厚生労働省に設置された「がん対策推進協議会」で議論される。協議会委員には、がん医療にたずさわる医療者や有識者だけでなく、がん対策基本法によって、がん患者、および、その家族・遺族も参画してきた。がん患者や家族・遺族の委員には、全国の患者会や家族会・遺族会、あるいは、がんに関する啓発を実践してきた人が選ばれている。

 基本計画は少なくとも5年ごとに見直される。第1期から10年が経過し、平成29年度からは第3期に入る。第3期計画案は、2015年7月から2年間の話し合いの末、2017年6月2日のがん対策推進協議会で素案がまとまった。その後、厚労省が関係省庁間で調整後、取りまとめをしたものが、今回の計画案となり、9月28日から10月11日まで、「パブリックコメント」で意見を募集している(後半に詳述)。

 「パブリックコメント制度(意見公募手続制度)」とは、国や行政が政令や省令等を定めるとき、事前に計画案を公表し、国民から意見や情報を募集する手続きのこと。目的は「行政運営の公正さを確保し、透明性の向上を図り、国民の権利や利益の保護に役立てること」とされている。

 パブリックコメント終了後は、閣議で基本計画として決定する。その後は、国のがん対策とともに、都道府県ごとのがん対策推進計画の土台となる。都道府県の病院では、この計画案に沿って医療が実践されていくため、この計画は患者の治療や療養に大きく関わることになる。

患者委員の共通の思い「がんの克服を目指したい」
 第3期計画案の全体目標は「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」と書かれた。だが、当初の厚労省事務局案は「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会の実現」だった。これに対し、患者委員の桜井なおみさんから「がんの克服」という文言を入れてほしいとの声が上がった。この議論は3カ月にわたって話し合われた。

 静岡県立静岡がんセンター総長の山口建さんをはじめとする医療者からは「公衆衛生学的、あるいは医療の現場からは、『克服とはほぼ完全にがんをなくす』『がん死を減らす』という意味と理解される。現状からは少し強すぎる」という意見が出された。読売新聞東京本社調査研究本部(主任研究員)の田中秀一さんからも「政策で、現実的でない言葉を使うのはあまりよくないのではないか」などの意見が出された。

 一方、委員の一人である若尾直子さんは「『がんの克服を目指す』をスローガンに入れたかったのは、『治療でがんを治す』だけではなく、『がんとの共生』までつながってほしいという願いを込めたかったのです」と発言した。患者を経験した委員らから異口同音に「がんは勝つとか負けるということではない」「私たちは相談支援を受けている中で、がんとは向き合いたくないという意見がある」「がんの克服は、自分たちにはできないかもしれない。でも私たちは次世代に託したい」などの発言が相次いだ。

 議論が医療者側と患者経験者側で真二つに分かれた中で、堺市立病院機構理事長の門田守人会長が「この協議会らしく、患者を経験された委員の意見を取り入れましょう」と議長として決断し、全体目標が決定した。「がんの克服を目指す」の言葉には、患者委員それぞれのがん対策への気持ちが込められている。

 全体目標の下には、がん対策の重点課題である「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」の3分野が大別された。「がんの予防」では、1次予防としての受動喫煙対策について、委員全員から対策の強化に対する一致した意見が出た。「がん医療の充実」については、特に「がんゲノム医療」「希少がん・難治性がんへの対策」「小児がん・AYA世代・高齢者のがん対策」が期待される。「がんとの共生」に関しては、「がん患者・家族への相談支援と情報提供」「就労を含めた社会的支援」などが強化される。さらに、その3分野には17の施策が並んだ(表1、拡大できる)。それぞれの施策には「現状と課題」「取り組むべき施策」「個別目標」が記載されている。

 

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