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レポート

2017/9/25

COML人材養成講座レポート(前編)

医療に関わるボランティア・市民活動に参加してみよう

福原 麻希=医療ジャーナリスト

 近年、医療において市民が活躍できる範囲が広がってきた。どんな活動があるのか。さらに、間違った情報提供や善意の押しつけをしないよう、人材養成講座も開かれている。そこで今回と次回はその一例として、「認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML」が開講する講座の様子をレポートする。


 医療に関わる市民の活動は、1960年代、淀川キリスト教病院(大阪府)が婦人会のボランティアグループを受け入れたことから始まったと言われる。米国の病院での取組みを見た女性が「日本でも、ぜひやってみましょう」と呼びかけたそうだ。70年代には、聖路加国際病院でも病院内でのボランティア活動が始まった。

 その後、時代を経て、病院内外でさまざまな活動が行われるようになった。今では、個人による「ボランティア」だけでなく、社会の課題解決を目的とした組織的で継続的な特定非営利活動法人(NPO)による「市民活動」も増えている。医療では、おもに次のようなボランティアや市民活動がある。

●病院内での患者・家族の案内やサポート
●患者やその家族・遺族の経験を生かした患者会や遺族会活動
●医療の課題に対する社会への情報発信や啓発活動
●医療者への教育活動
●医療政策活動

理事長の山口育子さん。25歳で卵巣がんに。そのとき、COML創始者で初代理事長の辻本好子さん(故人)と出会い、活動方針に共感したことで、以降27年間、運営に携わっている。

「電話相談」とはどんな活動か?
 市民活動の一つを紹介しよう。認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)は、1990年から医療を消費者の視点でとらえ、「賢い患者になりましょう」を合言葉に患者の自立した医療への参加を支援する。

 COMLでも、市民が病院内外で活躍している。たとえば、活動の主軸となる「電話相談」では、研修を受けた市民が電話相談スタッフとして、医療に関するさまざまな質問や悩みなどに対応する。相談者は全国の20代〜80代までの幅広い年代層で、患者本人や家族・知人だけでなく、医療者からも相談が来る。

 相談内容は、▽受けた医療に関する疑問▽治療の自己決定の支援▽患者としてのつらい気持ちや不安の傾聴▽薬の副作用や臨床試験に関する知識やしくみ▽医療費の疑問▽医療者や患者とのトラブルなど、多岐にわたる。これまで、5万件を超える電話相談に対応した。相談は手紙やFAXでも受けているが、99%は電話による。原則的に、面談は受けない。相談者が誰にも言えないことを吐き出すには、対面より顔の見えない電話のほうが適しているからという。

 理事長の山口育子さんは電話相談で大切なことを「ノウハウでなく、真摯に相談者と向き合うこと」と言う。そして「とてもクリエイティブな仕事」と表現する。「突然、電話をされてくる相談者は八方ふさがりで何も見えない状況です。そんなとき、話を聞きながら問題点を整理していくうちに、相談者がご自分で遠い場所にともる灯りに気づかれます。その灯りに向かって、どうすれば歩いて行けるかを一緒に考えていく仕事だからです」。

 特に、COMLにかかってくる相談は、行政や消費者センター、警察や法テラスなどから紹介されてくるほど、複雑な内容の相談が多い。このため、相談者と向き合う時間も、平均40分間と長くなる。1時間半、2時間かかることも多い。「COMLにかかってくる電話は、私たちが最終責任者になると覚悟を決めて、話を聞いています。既に3カ所、4カ所と相談された方も多いため、『ここが相談者の最終地点に』と思っているからです」(山口さん)。

 このため、電話相談スタッフとして活動する前は、基本研修として医療のしくみや医療費、納得できないときの解決方法、医療現場の課題などを細かく学ぶ。さらに、基本研修後は実践研修として最低100本のケーススタディのロールプレイとレポート作成をこなす。これらの研修を通して一定のレベルに達したら、電話相談スタッフに加わる。


訂正)当初、本記事ではCOMLの名称の説明として「COML=Consumer Organization for Medicine&Law、医療法の消費者組織」と入れていました。しかしながら、現在、この説明文は組織の意向で使われていないそうです。このため、10月10日付けで当該部分を削除しました。

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