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2017/3/17

メディカルメイクアップへの期待

がん治療による皮膚の変色や傷跡をカバーするためには?

中西美荷=医学ライター

湘南記念病院乳がんセンター・センター長の土井卓子氏

 治療技術の進歩により、がん患者の生存率が大きく改善されたことで、患者がよりよく生きるための支援の必要性が高まっている。なかでも、治療による外見変化は、治療後の社会復帰などがん患者の日常生活に大きな影響を及ぼすことから、外見変化に対するケア(アピアランスケア)の重要性が指摘されている。

 こうした中、2月10日に都内で、メディカルメイクアップアソシエーション(MMA)主催のメディアセミナーが開催され、「がん治療における見た目の悩み」に関する意識調査の結果が報告された。

8割が外見変化を経験、5割が社会復帰に影響
 意識調査は、2017年1月、化学療法によるがんの治療を行っているか、治療を経験した全国の515人(男性219人、女性296人)と一般生活者520人(男女各260人)を対象として、インターネット調査として実施された。

 その結果、治療により実際に外見の変化を経験したがん患者は約8割におよび、その内訳は「頭皮脱毛」(58.3%)、「まつげ、眉の脱毛」(35.5%)、「皮膚の変色/色素沈着」(31.8%)、「むくみ」(30.1%)、「肌の乾燥、あれ」(28.2%)、「爪の変形」(28.9%)などだった。

 こうした外見変化が「社会復帰にあたっての悩みである」と回答した患者は約5割で、特に女性患者では59.5%と、「体力の変化」の67.9%に次いで多かった。外見変化はまた「日常生活の活動に対してモチベーションが下がった」(38.3%)、「外出をためらうようになった」(36.8%)、「会うのを避けた」(32.1%)など、日々の行動や精神面にも影響を与えていた。さらに仕事や社会的活動をやめるに至った患者が12.2%にも上っており、外見変化はがん患者の人生に大きな影響を与えることが示された。

アピアランスケア実践者は4割にとどまる
 調査では、多くの患者が外見変化を経験していた一方で、対策を実践している患者は約4割にとどまっていることも判明した。具体的な対策としては、女性では「医療用ウィッグ」が48.0%(男性は3.7%)、男性では「肌のケア」が16%(女性32.1%)ともっとも高率だった。「皮膚の変色に対するメイクアップ」を行っていた患者は女性でも25.0%、男性では2.3%と少なかったが、実際にメイクアップを行った患者では、「積極的に外出できるようなった」(45.0%)、「精神的に明るくなった」(47.5%)といった効果が認められた。仕事や社会活動を再開した人も30%と、メイクアップによる効果の大きさが示された。

乳がん治療ではアピアランスケアが特に重要
 セミナーで「見た目と肌へのケアがもたらす効果」について講演した湘南記念病院乳がんセンター・センター長の土井卓子氏によれば、乳がん患者は、外科的治療による手術痕や肌の乾燥、放射線療法による乾燥、肌の黒ずみやひきつれ、ホルモン療法による更年期症状や老人性乾皮症、化学療法による乾燥肌・肌荒れ・吹き出物、発疹、色素沈着・しみの増加、爪の変色・変性・脱落、手足症候群、脱毛、血管障害など、多様な外見変化を経験する。患者の中には、抗がん剤投与に伴う脱毛のために部署移動となり、ウイッグを利用して勤続するも、指の黒ずみ、顔色の悪さから休職に追い込まれ、治療終了後も復帰できなかったなど、外見変化が人生に大きな影響を与えている例もある。

 また脱毛が眉毛やまつ毛にも及び、皮膚には色素沈着によるしみや発赤、乾燥から肌荒れ、吹き出物ができるなど、自身のやつれた顔貌をみて、「こんな思いをしてまで、再発予防などしなくていい、こんなふうになってまで頑張らなくていい」と諦めてしまう患者も少なくないそうで、外見変化は患者にとって精神的に大きな負担になることに加え、治療を進める上での障害ともなる。

 土井氏は「乳がんは現在、日本人女性がもっともかかりやすい癌となっているが、死亡率は4位です。発見しやすく、早期発見すれば根治できる癌だからこそ、うまく日常生活を送り、快適に確実に治療を遂行するためにプラスアルファーのケアが必要です」と述べ、乳がん患者では特にアピアランスケアが重要であるとの考えを示した。

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