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レポート

2017/1/23

第29回日本内視鏡外科学会総会より

より低侵襲な腹腔鏡下手術、単孔式手術の可能性が話題に

小又理恵子

 腹腔鏡下手術においては通常、手術器具を刺入するため腹部に複数の小さな穴を開ける。これを1カ所のみにする手法「単孔式手術」が患者負担をさらに軽減できるとして注目されている。昨年12月8〜10日に横浜で開催された第29回日本内視鏡外科学会総会では、単孔式手術は大腸がんに対しどこまで広まっていくか、議論が交わされた。


 大阪警察病院消化器外科の鄭充善氏と鈴木陽三氏は、腹部に開ける穴が1カ所のみであり通常の腹腔鏡下手術よりも手技が困難になることに加え、手術器具の操作に単孔式手術独自の工夫が必要であることを強調。その上で、適切な教育とトレーニングを行えば、単孔式での大腸切除術において、指導医と若手医師の間の短期成績に差はなかったことを報告し、いずれは標準術式になり得るとの考え方を示した。

 次いで登壇した帝京大学医学部附属溝口病院外科の平能康充氏も、定型化した単孔式手術手技を教育することで、指導医と若手医師の間の手術成績は若手医師の方が良好である傾向が認められたことを明らかにし、「医師1人で行う単孔式手術は、医師2人の協調作業となる通常の腹腔鏡下手術よりも定型化が容易と考えられ、慣れれば手術時間も短くて済むと考えられる」と述べた。

多施設研究では整容性に優れ、短期成績も従来法と同等との結果
 国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科の池田公治氏は、大腸がんに対する従来の腹腔鏡下手術と、従来よりも細径の手術器具を用いて行う低侵襲な手術および単孔式手術の有用性を10施設の参加により検証した結果を報告した。症例数は従来法102人、低侵襲法106人で、手術時間や出血量、合併症、入院期間、疼痛評価については2群の間に大きな差は認められなかったものの、傷の小ささを示す整容性については低侵襲な手術および単孔式手術の方が明らかに優れているという結果が得られた。

 池田氏は「今回の検討では、整容性以外の面において低侵襲な手術および単孔式手術の方が明らかに優れているとの結果は得られなかった。症例数を増やすこと、および他の尺度を用いた評価に関しても今後検討していきたい」と話した。

 横須賀共済病院外科副部長の渡邉純氏は、同院を中心に3施設で2012年より開始した、大腸がんに対する従来の腹腔鏡下手術と単孔式手術を術後の合併症の頻度を中心に比較した試験結果を発表した。従来法に100例、単孔式手術に100例が登録され、手術時間や出血量については2群間に大きな差は認められなかった。腹部に開けた穴の長さは、単孔式手術の方が当然ながら有意に短いという結果になった。

 術後の感染症や腸閉塞などの合併症の頻度や入院期間、QOLに関しても2群間に差は認められず、「がんの手術であることから、長期成績を継続して見ていく必要があるが、現時点では単孔式手術は従来法と同等の治療成績を示すと考えられた」と結んだ。その後の総合討論では、単孔式手術と従来の腹腔鏡下手術は、腹腔鏡下手術と開腹手術のような大きな術式や治療成績の違いがなく優位性を検証するには難しいと指摘されたほか、まだ限られた施設での実施が多く、大腸がんに対する標準術式として確立していくためには、さらなる器具の進歩や新たな術式の工夫が求められるとの意見が出された。

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