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レポート

2016/9/12

第1回日本がんサポーティブケア学会学術集会 Vol.1

がんの支持療法に特化した初の学術集会が開催される

森下 紀代美=医学ライター

 近年の診断・治療技術の進歩に伴い、がん患者の予後は改善しつつある。がん治療の分野においてはこれまで、生存期間や無再発生存期間など有効性に関して話題が集中しがちだったが、治療に伴う副作用や合併症、後遺症の対策についても関心が高まってきた。
 2015年8月に、がん治療を支えるサポーティブケア(支持療法)に関して学術的活動を行うことを目的に、一般社団法人日本がんサポーティブケア学会(JASCC)が設立された。2016年9月3〜4日に「副作用を制する者はがん治療を制する」を主題に開催された、第1回学術集会の模様を幾つか紹介する。


福岡大学医学部総合医学研究センターの田村和夫教授

がんの薬物療法と支持療法は“両輪”として重要
 「がんをターゲットとする薬物療法と支持療法はがん治療の両輪であり、どちらかが欠けてもいけない」と話すのは、日本がんサポーティブケア学会理事長で、福岡大学医学部総合医学研究センター教授の田村和夫氏。「がん治療をサポートする支持療法に正面から取り組む学会を作り、様々な情報を発信していきたい」と同学会を設立し、1年間の準備期間を経て今回の学術集会開催に至った。

 「支持療法」とは、がんの症状や治療による副作用への対策だけでなく、がんと診断されたときの心身面へのサポート、リハビリテーション、終末期のケア、がんサバイバーの再発不安や晩期障害へのサポート、就労支援、患者家族の悲嘆に対するサポートなどまでを対象とした、包括的な支持療法である。

 第1回学術集会の会長で、東京慈恵会医科大学内科学講座腫瘍・血液内科教授の相羽惠介氏は、治療効果に関心が集中し、副作用や晩期障害などへの対応が充実しているとはいえない状況について、「副作用や晩期障害などまで含めたすべての対策が十分にできない限り、がん治療において本当に望む結果は得られない」と強調した。

 海外では支持療法に関するさまざまな研究が進み、国際がん支持療法学会(MASCC)などの組織を中心に、ガイドラインの作成などが積極的に行われている。JASCCはMASCCを手本として設立された。背景には、日本には支持療法に特化した学術団体がなかったことに加え、MASCCからアジアでの窓口を日本で作ってほしいと要望されたこともあったという。

 JASCCの機能の中心となるのは、がん化学療法に伴う悪心・嘔吐(CINV)部会、痛み部会、がんリハビリテーション部会など、計16の部会だ。最近、漢方の小委員会も加わっている。今回の学会では妊孕性部会がシンポジウムを、患者・医療職部会がワークショップを開催した。

 同学会の副理事長で、埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授の佐伯俊昭氏は、「がんの治療から生じる副作用や合併症、後遺症をきちんとコントロールしなければ、患者は苦しみながらがんと闘うことになる。実臨床で治療に携わる医師は支持療法の重要性を感じていると思うが、医師だけでは十分な対策を取ることは難しく、チーム医療が必須。職種横断的、学会横断的に、患者を中心とした包括的なサポートを実践していくためには、私たちがどのように知恵を絞るかにかかっている」と話した。

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