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レポート

2016/5/23

家族ががんになったとき、どのようにサポートできるか(後編)

家族との何気ない会話が患者の心の支え

福原 麻希=医療ジャーナリスト

齊田教授

メディカルスタッフが家族の会話のきっかけに
 メディカルスタッフに介入してもらった場合、どのように悩みや不安が解決するか、前述の事例の続きを紹介しよう。

 A子さんを担当していた看護師が母親の暗い表情に気付き、声をかけて部屋で座って話を聞くことにした。母親は看護師にポツリポツリと心の内側を話し始めた。
「小さい頃から、手がかからない娘でした。がんになっても弱音を吐かず淡々と過ごしている姿を見て、こんなに心配しているのに娘は私(母親)を必要としていないようで」
 母親はストレスだけでなく、孤独を感じている様子だった。

 そこで、看護師はA子さんにも声をかけて話を聞いたところ、「自分のことは自分でしっかりしなくてはと思っていた」とのことだった。A子さんは看護師にこう話した。
「がんと聞いてショックを受けましたが、できるだけ挑戦していこう、病気についてわからないことは専門家である主治医に聞こうと思っています。母親には食事の工夫をしてくれていることや送り迎えをしてくれていることに感謝しています。でも、ちょっと照れくさくて、『ありがとう』と言ったことはなかったです」
 A子さんは看護師と話すことで、母親の気持ちに気付いたようだった。

 看護師が母親にA子さんの気持ちを伝えたところ、「そうだったのですか。私を必要としてくれていたんですね。娘と話す時間をつくります」とうれしそうな表情で答えた。その後、母親とA子さんは病気になる前のように、話ができるようになったという。

 Bさんの場合は、Bさんから看護師に相談があった。そこで、看護師は妻から話を聞くことにした。妻は「治療中なのに病院まで車を運転したり、朝から晩まで畑仕事をしたり……。安静にしていればいいのに。悪化したらどうしたらいいか不安です」と話した。だが、長年お互いの行動について干渉せず暮らしてきたため、「今さらあれこれ言うのもどうかと思って……。でも、夫が病気になってからは余計に距離を感じます」ともどかしさを感じていた。

 そこで、看護師が「実はBさんからこんな相談を受けている」と妻に打ち明けたところ、「夫が私を心配していたんですか」と驚いたように答えた。そして、「今日、家で夫と話してみます」と安堵の表情を浮かべた。

 看護師のちょっとしたひと押しで、夫婦は歩み寄ることができ、その後、妻から看護師に「最近、会話が増えました。夫と『病気を乗り越える』という共通の目標ができたようです」と明るい表情で話してくれたという。

 齊田教授は「ご家族は心配ごとや悩みごとがあっても、私たちメディカルスタッフに話しかけにくい、どこに相談すればいいかわからない、と困っておられるようです。もちろん、私たちも話しかけやすい雰囲気をつくらなければなりません」と言う。

 メディカルスタッフに話しかけるときのコツとしては、「話しやすい人でいいので、『気になることがあるのですが』『今日、何時でもいいのですが、お時間ありますか』と声をかけてみてください。その場で時間が取れなくても、『何分後に戻ります』と言ってくれるはずです」と齊田教授はアドバイスする。また、あらかじめ相談したい内容をメモしておき、それを見ながら話すとやりとりがスムーズになる。

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