このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2016/4/26

家族ががんになったとき、どのようにサポートできるか(前編)

患者のサポートには「作戦」が必要

福原 麻希=医療ジャーナリスト

大西教授(左)と石田さん(右)

家族も治療が必要なほど、精神的に大きなダメージを受ける
 悪い知らせ(bad news)を受けたとき、私たちは少なくとも2週間前後は日常生活に支障を来す。埼玉医科大学国際医療センター腫瘍内科の大西秀樹教授は、「特に、最初の1週間は衝撃が大きく、将来への見通しを完全に否定的な方向へ向けてしまいます。これは患者だけでなく、家族でも同じです」と説明する。

 海外の研究によると、がん患者の家族のうち、精神面で抑うつ症状が見られる人は10〜50%(※2)。身体面では不眠・心疾患になりやすく(※3)、社会面では看病のために仕事をやめたり、医療費がかかるため貯蓄が減少したりすることで不安になることがわかっている。このため、大西教授はがん患者の家族の話を聞く場として2007年に、全国に先駆けて「家族外来」の看板を掲げた。臨床心理士の石田真弓さん(精神腫瘍科助教)も面談を担当する。

 外来では主に「いま、何に困っていますか」と聞きながら問題点をリストアップし、そのうち自分自身で変えられるものと変えられないものを整理する。また、物の見方や考え方の癖を医師や臨床心理士の観察によって客観的に分析してもらい、気持ちを楽にする精神療法(認知行動療法)を受けることができる。必要に応じて医師が薬を処方することもある。

・衝撃の時期…悪い知らせを受けた直後〜1週目
・不安・抑うつの時期…1週目〜2週目         
・通常に戻る時期…2週以後

 また、大西教授は「家族によるがん患者のサポートはマラソンのように長丁場になるため、作戦を立てないと失敗する」とアドバイスする。
 このとき、家族も身体的・精神的に疲労が重なりやすいことを忘れてはいけない。


作戦1
「心を落ち着け、全部、自分が背負わないこと」
がん患者に対するサポートは色々ある(※4)ため、チームをつくって役割を分担するとよい。また、少なくても1年間は余裕を持ったスケジュールとして調整する。

作戦2
「いまの生活で、一番問題になることは何かを見極めること」
子どものこと、医療費のこと、夫婦間で話ができないこと、夫が暴力をふるうことなど、がんのこと以外でも悩みや不安はある。

作戦3
「闘病には現金が必要になるため、銀行でお金を引き出しておくこと」
病院へ行く交通費、生活で使う雑貨費、弁当や総菜などの食費など、いつもよりお金がかかる。


※4 家族の役割分担
*患者の身の回りの世話・看病
*家事(調理・洗濯・掃除・買い物)
*子どもの生活のサポート
*仕事の手伝い・代理業務・連絡業務
*治療や病気に関する情報収集
*病院との連絡係
*治療費用・生活費などの援助
*心のサポート

『家族ががんになりました どうしたらいいですか』(大西秀樹著・法研)より

 次回は、「家族関係がうまくいかない場合、どのように対応すればいいか」について、山口大学大学院医学系研究科保健学域齊田菜穂子教授の話を紹介する。



※2 Braun et al., JCO, 2007.
※3 Carter Oncol Nurs Forum 2002, Shaw Ann Behav Med 1997, Patrick et al., 1992.

この記事を友達に伝える印刷用ページ