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レポート

2016/4/26

家族ががんになったとき、どのようにサポートできるか(前編)

患者のサポートには「作戦」が必要

福原 麻希=医療ジャーナリスト

2012年、長女の友貴さん20歳のお祝い。長男で弟の健太さんはイギリスの大学で学んでいた。

情報に踊らされず大らかに構えていてほしい
浩美さん
 「ニンジンジュースは、もうやめてほしい」という話は、主人から理路整然と出たので、言い返す余地はなかったですね。ケンカにもなりませんでした。でも、ニンジンジュースを作っていたエネルギーをどこに向ければいいかわからなくなり、家の近所を数時間、グルグル歩き回って。徐々に冷静さを取り戻し、「判断する力を持たなければ」と気付くことができました。そのときの私は、主人でなく自分ばかりを見て、私がやりたいようにだけ行動してしまっていました。主人のためにやっていたつもりでしたが、私は私に向かって突っ走っていただけだったのです。主人からはそれが「重荷だ」と言われたのだとわかりました。これまで、我慢して付き合ってくれていたわけです。

哲也さん 色々と思うことはあっても、それを口に出すと家の中が真っ暗になりそうだったので、なかなか言い出せなかったですね。食事療法を実践する場合、私は1つずつ試してみたい。何カ月か食べて、その後、何カ月かやめた場合、体調がどう変わるか比較してその違いを知りたいからです。もしも一度に全部試したら、どれに効果があったかわからないので1つも外すことができなくなり、全部続けなければならない。抗がん剤の副作用で食欲がなかったり、口内炎でつらかったりするなかで、いつも同じものしか食べられないのはものすごくつらくて苦痛です。気持ちも体ももちません。

浩美さん 義母も義姉も私もみんな情報の波にのまれて、同じところに行きついた結果、サプリメントや食事療法の話になります。主人が科学的根拠のないことはしないにもかかわらず、「どうしたら一口でも食べてもらえるか」に専念していました。それが抗がん剤治療の助けにもなると思っていたので、そんな私たちの行動が治療の邪魔になっていたと知ったときには、本当に驚きました。

哲也さん (浩美さんの顔を見て)血液検査の結果が悪くても「自分の料理のせい」と思う必要はなくて、「次回はよくなるといいね」と思ってくれればいいんだよ。
 「何かしなくては」と思うから、次の日から特定の野菜ばかりが出てくる。それを指摘すると、また家内は自分を責めると思うから言えなくなる。それが患者を追い詰めていくことになります。

浩美さん でも、患者会でこの話をすると、うなずいてくれる奥さんは多いですよ。料理を作る立場だと、どうしてもそう考えてしまう。そんなとき主人から「自分が末期になったとき、苦しいとき、自分の意思を汲んで判断してくれるのが家族の役割だと思うから、それをしっかりやってくれ」「情報に踊らされるのではなく、ドーンと構えていてくれ」と言われて、考えを変えることができました。

哲也さん 家内は身近な存在ですから、こちらが弱音を吐いたとき、包み込んでくれるような存在でいてほしいのです。あと、患者は「いまの生活パターンを変えたくない」という人が多いですね。動くことがしんどいからです。いまの生活でものすごく痛みがあって七転八倒しているのであれば変えたいと思うかもしれませんが……。また、治療や生活を大きく変えると、次にどうなってしまうかわからないので不安になります。特に、周りから色々と言われるとものすごくストレスを感じます。「こんな情報があるよ」と言われるのは有り難いのですが、あくまでも「自分で決める」という気持ちは強いです。

浩美さん いまは、一昨年、昨年のように、主人がいなくなるという焦りがなくなりました。むしろ、今年のほうがその可能性は高いですが、一番落ち着いています。それは、チームとして相談できる人が増えたからです。病院の様々な職種の医療者、商店街の方々、患者会を一緒に運営してくれている高校時代の友人など、「仲間」ができたので、今後の人生が怖くなくなりました。

哲也さん 診断されたばかりの頃、「自分がいなくなっても、家内は生き続けていかなければならない。そのとき、この人はどうなるだろう」と心配していました。でも、家内が患者会の仕事をがんばってくれ、色々な人とつながってきた。そんな自分が望んでいた通りの環境が残せたと安心しています。

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