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レポート

2016/3/7

がん患者でも介護保険サービスを利用できる(その2)

デイサービスが終末期患者の幸せな時間を演出

福原 麻希=医療ジャーナリスト

 今年1月、NPO法人HOPEプロジェクトが遺族200人を対象に「がん患者の終末期の現状(※1)」について調査したところ、「介護保険サービスを申請した人は全体の4割弱(36%)」とわかった。介護保険を利用しなかった理由には、「がん患者が使えると思わなかった」「高齢者の制度だと思った」という回答が並んだ。だが、がん患者でも介護認定を受け介護保険サービスを利用することはできる。たとえば、群馬県高崎市には、終末期のがん患者でも利用できるデイサービスがある。どのように過ごすことができるかを紹介する。


 近年の医療政策は、入院を必要とする治療が終了した患者を自宅に帰す方向に舵を切っている。特に、がん患者は抗がん剤治療でも放射線治療でも通院しながら受けられるようになった。末期・終末期でも自宅で療養している患者は多い。

デイプレイス・オリジンは管理者が自宅を提供している。

 がんを含めた特定疾患に罹患する「40〜64歳までの患者(第2号被保険者)」は介護保険サービスが使えるが、そのことがあまりよく知られておらず利用率は低い。サービスが利用できることで、がん患者の生活がどのように変化するかは、前回の記事で紹介した(その1)。

 前回の記事では、自宅での療養の様子を紹介したが、末期のがん患者でもデイサービスを利用して外出することができる。例えば、群馬県高崎市のデイプレイス・オリジン(デイサービス)では、終末期のがん患者も受け入れている。全国でも先進的な取り組みである。デイサービスではどんな時間を過ごせるか。

 取材日、オリジンには8人の利用者が来ていた。この日は終末期の患者さんはいなかったが、認知症やリウマチで手指が不自由な方はいた。利用者はリビングの2つのテーブルに座っていた。1つのテーブルでは昼食のすいとんの準備をしていた。利用者からのリクエストで、利用者ご自身で調理の準備をしていた。もう1つのテーブルでは、入院した利用者に千羽鶴を届けるために折り紙を折っていた。オリジン代表で介護福祉士の小池昭雅さんのお子さんも座って、一緒に鶴を折っていた。

デイプレイス・オリジン 利用者がすいとんを作る。スタッフの仕事は「利用者の役割と幸せな時間をつくること」。

 オリジンでは、小池さんの3人のお子さんが自由に出入りするほか、スタッフも子どもを連れて出勤する。夏休みなどは近所の子どもも遊びに来る。「昔のように、おじいさんやおばあさんに子どもが育てられながら、お父さんやお母さんが働くような職場にしたいと思っています。子どもたちも、常に高齢者の方々に『かわいいね』『上手にできているね』とかわいがっていただいているので居心地がよく、自己肯定感にもつながります。また、特に、利用者の方々に役割を持っていただくことを意識しています」と小池さんは言う。

利用者とスタッフのお子さんが一緒に日常を過ごすことで、高齢者にも子どもにも好影響をもたらす。

 毎日朝9時〜夕方4時半時まで、利用者はそれぞれ思い思い好きなことをする。みんなで一緒に同じことをすることは少ない。1日のスケジュールのなかには、昼食とおやつ、入浴のサービスがある。「デイサービスといっても、近所の小池の家に遊びに行くぐらいのつもりで来てほしい。温かい日常の雰囲気を大切にしながら、利用者さんの居場所を作りたい」と小池さんは言う。

 オリジンの職員のミッションは「利用者の幸せはどんなことか」を探すこと。「昔、こんな食べ物が好きだった」「昔、こんなところへよく行っていた」などの情報を雑談から聞き取り、「次回の昼食で作ってみますか」「次回は、そこへ行ってみますか」と提案する。利用者は次回、オリジンに来る日を心待ちにするそうだ。



※1 がん患者白書2016 がん遺族200人の声 「人生の最終段階における緩和ケア」調査結果報告書

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