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2016/2/22

がん患者でも介護保険サービスを利用できる(その1)

家族と自宅で穏やかな時間を過ごす

福原 麻希=医療ジャーナリスト

最期まで3人の子どもの母親でいられた
 胸腺がんで亡くなった40代女性の事例も紹介する。介護保険サービスを利用したことで、終末期を自宅で家族と過ごすことができた。介護認定は要介護1と判定され、車椅子、置き型の手すり、マットレス、ベッドサイドのテーブルを貸与してもらった。

 置き型の手すりは布団や椅子のそばに置いて、起き上がりや立ちあがりのときに手を付いて体を支えるために使う。トイレなどへ移動するときにつかまったり、便座から立ちあがったりするときも重宝する。女性は最期まで自力でトイレに行きたいという希望があったため、トイレの中に置いて立ちあがりのときに使った。

 女性の背中に腫瘍が突き出してしまい仰向けになると痛みに悩まされたことから、リビングのソファベッドで横になるとき、マットレス(エアマット)をクッション代わりに使っていた。夜は2階のベッドで寝ていたが、日中は「病人のように寝室で過ごすのは嫌だ」と言って、いつもリビングにいたという。

 「ソファベッドに小学生の娘さんが座り、ベッドサイドのテーブルを使って宿題をしている姿をよく見ました。女性の傍らに娘さんが座っていたことで、背中をなでたり、頭を触ったりしながら母娘の時間を過ごしていました」と新井さんは思い出す。

 女性はリクライニングの電動ベッドは使わなかった。生前、「リクライニングベッドを使うと高低差ができ、手をつなげない」と新井さんに話していたそうだ。夫と高校生・中学生・小学生の3人のお子さんと川の字になって眠っていた。

 訪問入浴サービスも利用した。「すごく楽で、こんなに丁寧に大事に体や髪の毛を洗ってもらえるなんてすごいね」と女性は嬉しそうに話していた。

 だが、そのあとは訪問入浴サービスを使わなかった。女性は新井さんに「娘が私と一緒にお風呂に入って、体や髪の毛を洗うことを自分の役割だと思っているみたいで。本当は体がつらいし、お風呂に入ると疲れるので訪問入浴サービスのほうが有り難いんだけど、娘の役割を奪うことはしたくないので、動けなったらまた(訪問入浴サービス)を利用するわね」と言っていたそうだ。

 この言葉を聞いて、新井さんは「介護保険サービスは、利用者さんがどんなことで困っていたり苦しんでいたりするか、本当に必要としていることは何かをよく見極めてケアプランを組まないと、不必要なサービスになってしまうことを教えていただきました」と話す。

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