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レポート

2016/2/22

がん患者でも介護保険サービスを利用できる(その1)

家族と自宅で穏やかな時間を過ごす

福原 麻希=医療ジャーナリスト

 昨年12月、全国のがん患者団体が参加する「がん患者学会2015(一般社団法人全国がん患者団体連合会と公益社団法人がん研究振興財団の共催)」が開催された。患者自らが経験や意見を共有し、提案を練り上げていくことを学術大会のかたちで実施するのは初めて。この学会で話題となったことの1つに、「がん患者の介護保険の利用率が低い」があった。介護保険サービスとは公的介護保険制度により、民間の事業者がサービスを提供するもので、がん患者でも介護認定を受けられれば利用できる。しかし、その認知度はまだまだ低い。そこで、サービスを利用した場合、終末期の生活はどのように変化するか、事例とともに紹介する。


 今年は新たに「第3期がん対策推進基本計画」が策定される。がん患者団体が国に要望を提出していくためには、「医療制度を学び、現状を踏まえた上で議論する場が必要」(理事長・天野慎介氏)と、全がん連が全国のがん患者団体に呼び掛けて、学会が開催された。

 参加したがん患者団体数は46。学会では日本のがん対策について10のテーマ(緩和ケア、がん検診と啓発、がん教育、がん登録、希少がん、がん研究・臨床試験、小児がん・AYA世代のがん、医療費、これからのがん医療への課題、第3期がん対策推進基本計画)を取り上げ、1日目は医療者の講義、2日目はがん患者団体からの発表とディスカッションが行われた。
 
 1日目「がんサバイバーシップ」のセッションでは、NPO法人HOPEプロジェクトの理事長・桜井なおみさんが「がん患者の終末期の現状について」をテーマに、遺族200人に調査した結果を発表した(※1)。特に、介護保険の利用状況について「介護保険サービスを申請した人は全体の4割弱(36%)」。その理由は、「がん患者が(介護保険サービスを)使えると思わなかった」「高齢者の制度だと思った」と報告した。特に「40〜64歳までの患者(第2号被保険者 ※2)」が使えることが知られていないのは大きな課題である。

 緩和ケア診療所・いっぽ(群馬県高崎市、在宅療養支援診療所)の小笠原一夫院長は、この結果について、「末期のがん患者であっても、亡くなる直前まで日常生活動作をかなり保つことができる方が多い。また、ほとんどの患者さんや医療者は『身体が動けなくなったら病院へ』と考えています。だから、介護保険の利用者が少ないのでしょう」と分析する。

 しかし、日常動作に困難が生じたり、さらには終末期をできる限り自宅で過ごしたいと希望したりしたとき、介護保険を利用できる。

 小笠原医師はこれまで24年間で1700人を看取ってきたが、体が動けなくなったため介護保険サービスを利用した期間は「平均2週間。おおよそ1ヵ月弱が多かった」という。

 小笠原院長は「患者さんが一番つらいのは、安心できない場所で、知らない人に囲まれて意味の分からない処置を受けることです。このため、せん妄(意識障害を起こし、幻覚や幻想を訴える状況)を起こして手足を拘束されてしまう。病状が悪化しても、どのように暮らしを支えていくかを大切にしたい」と言う。



※1)がん患者白書2016 がん遺族200人の声「人生の最終段階における緩和ケア」調査結果報告書のこと。報告書は(1)介護保険の利用状況、(2)緩和ケアの利用状況、(3)家族ケアの状況――の3つの柱で構成されている。



※2)介護保険サービスが利用できる第2号被保険者の特定疾病(※クリックすると拡大します)

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