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レポート

2015/10/20

NPO法人 エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)理事長の真水美佳氏に聞く Vol.2

乳房再建術で重要なのは患者と医師との信頼関係

満武里奈=日経メディカル

――では、乳房再建術への満足度の高い患者さんは、医師からこのあたりを事前にしっかりと伝えられていたということでしょうか。

真水氏
 そうですね。安易に、「きれいに治るから任せて」と言うだけではだめなのです。例えば、自家組織での再建を希望されている患者さんに対してこういったケースでは実施が難しいとか、あなたの胸の場合、インプラントにすると左右のバランスが悪くなる可能性がある、といった不都合なこともしっかりと情報を伝えられる、コミュニケーションを取れる医師が求められています。

――そうしますと、乳房再建を考えている患者さんへのアドバイスとしては「医師としっかりコミュニケーションを取りましょう」ということでしょうか。

真水氏
 そうですね。あとは再建手術前に経験者の話を聞くことをお勧めしています。もちろん主治医とよく話すことも重要ですが、経験者から直接聞かないと分からないことも多いからです。

 東京などの大都市であれば、患者会やセミナーなどで話を聞く機会も比較的あったりするのですが、地方になるとその機会もぐんと少なくなってしまいます。
 
 今年のアンケート結果からも分かるように、乳房再建手術を受けるにあたり、病院から欲しい(または欲しかった)サポートとして最も多かったのが「手術経験者の話を聞く機会」でした。

 乳房再建手術の経験者と話をすることで、抱えている悩みに答えてもらえるだけでなく、実際に再建後の乳房を見せてもらうことで不安が和らぐこともあります。私たちのキャラバンやセミナーでも希望者には再建後の乳房を見てもらうようにしています。

――セミナーやキャラバンでは、乳房再建手術の経験者としてどのようなアドバイスをされるのですか?

真水氏
 例えば、術後のケアも実はとても大事であることを伝えるようにしています。乳房再建手術後のケアはその後の傷の残り方に影響を与えるため非常に大切です。にもかかわらず、多くの病院は術後のケア方法まで伝えていないようです。

 私たちE-BeCのホームページでは、「乳がんに際して知っておきたいお役立ち情報」を掲載していますが、この中で術後のセルフケア方法を掲載しています( 2.術後の傷をきれいに治すために… )。

 例えば、表皮を縫わない場合は、傷口が開かないように、医療用のテープを一定期間貼ることが大切になります。テープを貼る期間は、傷の大きさや部位にもよりますが、自家組織を使った乳房再建で腹部の皮膚・脂肪を切除した場合は、切除幅が大きいため、3カ月間は腹部の手術創にテープを貼ることが理想的とされます。サージカルテープの具体的な貼り方についてイラストを用いて解説しています。

 そのほかの術後のセルフケアとして、乾燥が気になる場合には市販のオイルや保湿クリームなどを用いるとよいことも紹介しています。

 術後は、手術の際に出来た傷跡が目立ちはしないかと不安になり、ノースリーブが着られなくなったり、必要以上に人の目が気になってしまうことがあります。もちろん個人差がありますので誰にでも有効というわけではありませんが、少しでも術後の傷跡が残らないように、セルフケアをすることをお勧めします。
 
 ちなみに今ウェブで掲載しているのは傷がふさがるまでのケアだけです。今後は、その後のケアについても掲載していきたいと思っています。

――とても興味深い活動をされているのですね。E-BeCはどんな経緯で設立されたのですか?
真水氏
 今から7年前、乳房切除と同時に再建手術を受けました。手術に際して乳房再建に関する情報を探したのですが、ウェブには乳房再建をされた方のブログぐらいしかなく、あったとしても誰がいつ書いたのかも分からないような情報ばかりで、とても不安な思いを経験しました。

 その後、2010年にはE-BeCの母体となる「STPプロジェクト」(真水美佳、片野佐保、川島直子による異業種交流ワーキングチーム)を結成し、写真家のアラーキーこと荒木経惟氏さんが乳房再建経験者をモデルに撮影した写真集「いのちの乳房」を発刊しました。

 その後、乳房再建手術を経験した様々な女性と出会ったのですが、その多くは乳がん患者のミーティングに参加するために、わざわざ地方から東京に移動してきていることが分かりました。わざわざ東京まで来るのは大変だろうと思い、ならば各地でセミナーを開催しようと考えました。2012年7月にE-BeCを設立し、翌2013年1月には東京都からNPO認証を受けました。

 私が乳房再建手術を行った時代に比べ、今はずいぶんとウェブに情報があふれています。一方で、その情報を発信している人の顔が見えず、いつ更新されているのかも分からないウェブサイトやブログも少なくありません。

 そこで私たちは、乳房再建に関する正確な情報を提供するサイトになろうと考えました。また、一般的な患者会は特定の施設と関連があることが多いですが、私たちは患者会でもないため、様々な病院の先生方に協力を依頼できるというのも大きな特徴です。都市部と地方で情報格差があるようにも感じているので、それを解消すべく、地方でもセミナーやキャラバンを開催するという方針でやってきました。

 さらに昨年には、「乳房再建Handbook」を作成し、1250余りの病院に配布し、さらにウェブからダウンロードできるようにしました。乳房再建に関する情報をわかりやすく解説したもので、私たちの活動がより認知されるようになりました。

――次回Vol.3では、E-BeCの活動をさらに紹介します。

※Vol.1の記事はこちらから
乳房再建術、保険適用後も「費用」のハードルを感じる患者が多い

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