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2015/10/20

NPO法人 エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)理事長の真水美佳氏に聞く Vol.2

乳房再建術で重要なのは患者と医師との信頼関係

満武里奈=日経メディカル

 NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)は乳がん患者を対象に、乳房再建に関するアンケートを毎年実施している。E-BeC理事長の真水美佳氏に今年公表した2014年のアンケート調査結果、そして乳房再建をめぐる現状と課題について話を聞いた。Vol.2では今回のアンケート結果に踏まえ、真水氏に乳房再建の現状と課題について解説していただいた。


E-BeC理事長の真水美佳氏

――これらの今回のアンケート結果は予想されていた通りだったのでしょうか。

真水氏
 はい。全体的には予想どおりの結果でした。まあ、予想通りでなかった項目を強いて挙げるのであれば、保険適用されてしばらく経った時期であったにもかかわらず、依然として費用面に対してハードルを感じる人が多かったことです。

 例えば2013年7月にはラウンド(おわん)型の人工乳房、翌年の2014年1月にはアナトミカル(しずく)型の人工乳房を用いた乳房再建術が保険適用の対象となりました。それにもかかわらず、費用面で負担に感じている人が多いことが分かりました。

――保険適用されていないことを知らない人も多いのですね。

真水氏
 はい。保険適用されたにもかかわらず「費用がハードル」だと回答する人が2013年とほぼ変わらず一定割合いることから、まずは保険適用されたという情報が行き渡っていないのではないかと思っています。乳房再建について情報を集めていくうちに、保険適用されているということを知るのだと思います。これはあくまで私の推測なのですが、乳がん切除時に再建する(1次再建)か、乳房切除とは別の時期に再建する(2次再建)かという再建時期の違いによって「費用の負担感」が変わってくるのではないかと思われます。

 と言いますのも、乳がんの切除と同時に行う1次再建の場合は、「とにかく乳がんを治さなきゃ」という気持ちで一杯になっているため再建費用にまで頭がまわらない人が多いように感じます。一方、手術が一段落した状態で行う2次再建では、あらためて費用がかかるので負担を感じるのではないでしょうか。

 また、これもあくまで推測なのですが、過去に乳がん手術をして、その後に保険適用されていることを知らずに乳房再建をしていない患者さんも多いのではないかと感じています。来年の調査で調べたいと考えています。

――そうすると、手術時に再建できることを知っていなかったために、再建術を行う機会を逃した患者さんがいてもおかしくない状況ですね。では切除術をする際に再建術の説明をするかどうかは患者さんに大きな影響を与えてしまいますね。

真水氏
 はい、そう思います。私たちが全国各地で実施しているキャラバンやセミナーでご講演いただく先生方は非常に熱心な方々ばかりですので、その先生の所属する施設のその他の医師も乳房再建術の情報に明るい先生方ばかりです。そういった施設にかかっていれば、再建術についてしっかりと説明を受けることができるでしょう。

 一方、地方都市では乳房再建術に明るくない医師もいまだ多く、「乳がん手術後2〜3年経過してから行いなさい」と言う医師がいることも事実です。
ちなみに今年改訂された日本乳癌学会発刊の乳癌診療ガイドラインでは、「CQ21 乳房切除術を受ける患者に乳房再建は勧められるか」の項目で、「早期乳がんに対する乳房切除後の1次再建は、形成外科専門医を含むチーム医療として行う場合に、根治性を損なわず整容性が得られる選択肢である」として推奨グレードB(科学根拠があり、実践するよう推奨する)となっています。

 そもそもこのキャラバンをやるようになったきっかけは、全国各地で乳房再建術に熱心に取り組む医師を紹介したいと考えたためです。今回のアンケート結果から分かるように、患者さんたちは「医師の実績」を最も重視しています。乳房再建に関する情報が少なく、セミナーなどの情報がとても貴重となっている現状では、登壇している有名な医師に全国各地から患者が殺到しがちです。その結果、有名な医師のところでは、数年待ちで再建をするという事態になっています。

 もし、患者さんの住んでいる地域で診療している、乳房再建に熱心に取り組む医師を紹介すれば、もし何かあったときにすぐに対応してくれる可能性もあり、患者さんにとって大きなメリットになると考えました。そのため、キャラバンやセミナーではそれぞれの地域で乳房再建術について核となって動いていらっしゃる先生にご登壇いただくようにしています。

信頼関係をいかに築くかで変わる満足度
 実は、乳房再建術で重要なのは実績だけでなく、患者と医師間でいかに信頼関係が得られるかという点です。医師と患者との間で十分にコミュニケーションが取れていて、信頼関係が築けていると、乳房再建術への満足度が高く、仕上がりに満足できる傾向があるようです。

 逆に「左右差がない」など第三者が評価するくらいにきれいに乳房再建がされていても、医師と患者間のコミュニケーションが不十分だと、再建結果に患者は満足しないこともあります。つまり心理的な効果が大きいと言えます。

 もちろん医師の技術はとても大切ですが、「この先生だったらお願いしたい」と思えるような先生であることが大事ですね。それは乳房再建術が単なる手術ではなく、整容性に関する性質が強いものだからでしょう。悪いところ(腫瘍)を切って落とすだけでないのです。

 ただし、乳房は手術前と全く同じ状態に戻るわけではありません。新しく作るものなのですから、当然,以前の状態とは異なってきます。ですから、そのあたりを十分に術前に説明されていることも必要です。「元の状態と変わらない」という期待を患者が抱いてしまうと。あとで大きな落胆につながることもあります。

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