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レポート

2015/9/29

第8回市民公開講座より

腎がんと診断されたら〜よく理解し、最適な治療を選択するために〜Vol.1

●どのような手術がありますか?
―体に優しい手術が選択肢に―
瀬島健裕氏(鳥取大学泌尿器科 准教授)


 腎がんに対する手術は積極的に行われる。手術を行う目的は2つあり、一つはがんを取り除いて根治を目指すこと、もう一つは転移がある場合にがんの量を減らし、薬物療法を奏功させることである。

 腎がんの手術では、腎臓の中のがんをすべて取り除くことを目指す一方で、体の負担はできるだけ少なくし、腎機能を低下させないことも重要になる。

 手術法は大きく2つに分かれる。その一つは、がんのある腎臓をすべて取り除く「根治的腎摘除術」で、腫瘍の位置によっては腎臓の上にある副腎も摘除する場合がある。

 根治的腎摘除術にはデメリットもある。瀬島氏らの施設で根治的腎摘除術を行った患者147人について、腎機能の推移を観察すると、術後に半数以上の患者が慢性腎臓病(CKD)と呼ばれる腎機能が低下した状態となった。ただし、一方の腎臓を取っても、多くの患者では残った腎臓が代償的に機能を果たすようになるため、生活に支障をきたすことは少ない。しかし、手術前から腎臓の機能が低下している場合は、一方の腎臓を失うことは望ましくない。

 手術法には、腎臓のがんの部分だけを取り除く「腎温存手術(腎部分切除術)」もある。この手術では腎臓の正常な部分が残るため、腎機能が低下しにくいというメリットがある。ただし、腎温存手術は、がんが比較的小さく、腎臓の端にある場合に限られ、主に早期がんに対して選択される。

 根治的腎摘除術と腎温存手術の方法には、開腹して腎臓を摘除する「開放手術」、腹腔鏡で手術をする「鏡視下手術」がある。鏡視下手術は、開腹せずに、小さな傷から内視鏡と手術用鉗子を腹腔内に入れ、臓器や腫瘍を摘出する方法だ。さらに腎温存手術には、鏡視下手術と手技は同じ「ロボット支援手術」という選択肢もある。また、全身状態が不良な場合は、手術以外の治療法として、専用の針を腫瘍に刺し込んで凍結させる「凍結療法」や、ラジオ波で焼灼する「ラジオ波焼灼術」が選択されることもある。

 瀬島氏は「鏡視下手術とロボット支援手術には、腹部の筋肉の回復が早い、手術の傷(創)が小さい、術後の回復期間が短いといった利点があり、体に優しい低侵襲手術と言える」と話した。

 ロボット支援手術は、現在日本では主に前立腺がんに対する手術として普及している。日本で広く使用されているのは「ダヴィンチサージカルシステムSi」と呼ばれる機種で、術者の指の動きが手術用鉗子に伝えられ、手術が進められる仕組みになっている。

 腎部分切除術では、ロボット支援手術を用いた「ロボット支援腎部分切除術」が先進医療Bとして昨年6月に認められている。現在は保険診療として認められることを目的として、さまざまな治験が行われている段階にある。

 ロボット支援手術が期待される理由は、その利点にある。腎部分切除術では、腫瘍の位置を見極め、出血を防ぐために腎動脈を圧迫して血流を遮断し、腫瘍を切除した後、血管や腎盂や腎実質を縫合する。腎動脈を遮断すると、分単位で腎機能が低下するため、血流を遮断する時間(阻血時間)は30分以内とされている。

 阻血時間、手術時間、創の大きさ、術後の痛みの4点から考えると、鏡視下手術は体に優しいが、手術用鉗子が直線状で操作が難しく、阻血時間や手術時間が延長する可能性がある。従来の開放手術では、阻血時間や手術時間は短くてすむものの、創の大きさや術後の痛みは鏡視下手術よりも大きい。ロボット支援手術では、阻血時間や手術時間が短縮され、創の大きさや術後の痛みも小さく、これら4点の課題を達成する可能性があると考えられている。

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