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2015/6/30

国がんが「がん臨床試験・治験推進国際シンポジウム」開催

臨床試験の計画段階からの患者参加が世界の潮流

福島安紀=医療ライター

 欧米では、臨床試験の計画段階から患者代表の参画が進んでいる。しかし、日本では計画段階から患者が議論の場に参加する機会はまだ少ない。国立がん研究センター(国がん)は、5月14日と15日の2日間、英国大使館、フランス大使館、米国大使館、韓国大使館、米国国立がん研究所(NCI)との共催で、がん臨床試験・治験推進国際シンポジウムを開催。1日目に、「患者アドボカシーミーティング」を開き、日米英仏の専門家と日本の患者支援団体の代表ががんの臨床試験・治験における患者の役割について意見交換を行った。ミーティングの様子を紹介する。


NCIグローバル・ヘルスセンター長のエドワード・トリンブル氏

 まず、NCIグローバル・ヘルスセンター長のエドワード・トリンブル氏が米国の現状を報告した。米国ナショナル臨床試験ネットワークには、臓器別の科学的な運営委員会、がん対策運営委員会、臨床画像診断運営委員会など、科学的にどの臨床試験を優先すべきか評価、助言する複数の運営委員会があるという。「全ての運営委員会には、患者の立場である患者アドボケートが必ずメンバーに入ることになっている。特に民間企業が関わる臨床試験では、企業の利益が優先される恐れがあり、なおさら患者アドボカシーグループの方に、患者や国民の利益を満たす方向で臨床試験が行われるように働きかけてもらうことが重要」とトリンブル氏は強調した。NCI、アメリカがん協会(ACS)、米国臨床腫瘍学会(ASCO)などが、患者アドボカシーの教育も行っている。

 米国ではバラク・オバマ大統領を筆頭に国を挙げてがん研究の推進に取り組んでいるのも特徴だ。米国臨床試験ネットワークの予算は年間約50億ドルで、そのうち臨床試験には9億ドルを使っている。6割は治療、2割が予防、残りの2割を診断とその他(リハビリなど)に対する研究という。がん種別の研究予算(2011年)では、最も多いのが乳がん(1万9400ドル)で、2位が肺がん(9500ドル)、3位が白血病、前立腺がん、大腸がん(それぞれ8600万ドル)と続く。

英国国立衛生研究所がん臨床研究ネットワークディレクターのマット・シーモア氏

 また英国では、2001年、英国国立衛生研究所がん臨床研究ネットワークが構築され、臨床試験の計画、申請、助成金の管理・運用、結果の評価など、全ての段階で患者代表が関わることが義務づけられている。同ネットワークディレクターのマット・シーモア氏によると、助成金申請のために書類を用意するプロセスでも患者が関わっており、患者の関与がない場合には助成金が交付されない。あらゆる階層の人が臨床試験に参加できるように、患者の日当や出張費を支給する制度もあるという。

 「英国では、臨床試験に参加する患者の割合も増えている。患者の代表が臨床試験のデザインの改善を提言することもあるなど、臨床試験のあらゆる段階に患者が参画するようになった影響が大きい」とシーモア氏は話す。

 シーモア氏の発表の中で、米国やフランスの研究者からも注目を集めたのは、年1回の英国がん学会の際に、若手研究者の研究支援のために実施される「ドラゴンズ・デン(Dragon’s Den)」だ。英国など20カ国で放映され人気を博した同じタイトルのTVプログラムでは、起業家などが自分の商品やサービスのプレゼンテーションを行い、投資する価値があるかどうか投資家(ドラゴンズ)が審査を行う。それを真似て、若手の研究者が自分の研究テーマについてプレゼンテーションを行い、助成金を出すかどうか70〜80人の患者代表が審査するという。

 英国では、毎年がん患者7万人を対象にしたがん患者体験調査を実施。最新の調査結果によると、3分の1の患者が臨床試験を受けないかと依頼され、そのうち3分の2が実際に参加していた。呼びかけられた患者の95%は「声をかけてもらって良かった」と回答した一方で、呼びかけられなかった患者の53%は「声をかけて欲しかった」と答えている。

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