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レポート

2015/5/12

NPO法人キャンサーネットジャパンらがセミナー「もっと知ってほしい がんと在宅医療のこと」開催――Vol.1

終末期を自宅で過ごすには早めの準備が必要

福島安紀=医療ライター

 佐々木氏は、自宅での看取りを希望していたにもかかわらず、準備期間が足りず、本人の願うような終末期を迎えられなかった症例を紹介した。68歳で胃がんになったある男性は、70歳で肝臓に、71歳で肺に転移が見つかった。自宅での療養と看取りを希望していたが、家族の付き添いで何とか通院できる状態だったので、亡くなる2週間前まで病院への通院を続けた。いよいよ通院ができなくなって訪問診療を利用したが、直後にその男性はADLが低下し、自力でトイレにも行けず、食事や水分も取れなくなってしまった。急激な変化を目の当たりにし、自宅での看取りに不安を感じた家族が救急車を呼んでしまい、病院に入院することになってしまう。その1週間後、病院で息を引き取ったそうだ。

 一方、在宅医療をうまく取り入れ、終末期を自宅で迎えることができた例としてシステムエンジニアの50歳代男性の例を紹介した。この男性は健康診断で肝機能障害と言われ、精密検査で肝細胞がんが見つかった。すでに他の臓器に転移しており、ラジオ波焼灼療法や放射線治療を受けたが治療効果は得られなかった。入院中に化学療法を勧められたが、延命効果が期待できないと言われたため、化学療法は受けずに家へ帰った。この男性は当時受注していた仕事があったので、在宅医療を受けながら自宅で3カ月間仕事を続け、亡くなる3日前にシステムを納品したという。訪問診療、訪問看護、介護サービスと妻の介護を受け、息を引き取るまで自宅で過ごした。

 最後に佐々木氏は、次のように話し講演をまとめた。「最良の結果を期待してがんの治療を受けるわけだが、最悪の事態になったときにどこでどう過ごすかも考えておく必要がある。がんが他の臓器に転移して、治療を受けたとして大きく運命が変わらないと分かった時点を終末期ととらえ、そこから先どう生きるのか主体的に選ぶことが大事。何を大切にするかは人によって違い、最後まで病院での治療を選ぶ人もいるが、在宅医療を受ける選択肢もある。医療者に丸投げにせず、自分で主体的に選んでほしい」。

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