このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2015/2/17

厚労省の研究班が東京でセミナー開催

遺伝子情報をがんの診療に活用する―遺伝性乳がん卵巣がん― Vol.1

福島安紀=医療ライター

東京医科歯科大学難治疾患研究所教授の三木義男氏

総合診療施設を認定しHBOCの検診・治療体制を強化
 BRCA1/2陽性かどうかを調べる際は、遺伝カウセリングを受けた後、血液検査で診断する。この遺伝子検査には保険が使えず自費診療で、20万〜25万円かかる。東京医科歯科大学難治疾患研究所教授の三木義男氏によると、遺伝性の乳がん卵巣がんにはBRCA1/2以外の遺伝子変異が原因のものもあり、血縁者に4〜5人乳がんや卵巣がんの体験者がいたとしても陰性になる場合もある。なお、BRCA1/2陽性の人の血縁者が検査を受けるときには約5万円で調べられるそうだ。

 では、遺伝カウセリングと遺伝子検査はどこで受けられるのか。北里大学病院遺伝診療部長の高田史男氏は、HBOCの遺伝カウセリングと遺伝子検査が受けられる施設を探せるサイトとして全国遺伝子医療部門連絡会議の遺伝子医療実施施設検索・提供システム(http://www.idenshiiryoubumon.org/search/)を紹介した。このサイトで疾患分類の家族性腫瘍を選択すると、HBOCの遺伝カウセリング、遺伝子診断、治療を行っている医療機関を検索できる。「遺伝性の病気は誰の責任でもないが、日本人の場合、親や祖父母が自分のせいだと泣き崩れることも多い。遺伝カウセリングなどで正しい知識を得ることで誤解、偏見が払拭できる」と高田氏は解説する。

北里大学病院遺伝診療部長の高田史男氏

 また、日本人類学会、日本乳癌学会、日本産科婦人科学会、日本婦人科腫瘍学会、日本遺伝カウセリング学会の5学会が、今春にも、遺伝診療部、乳腺外科、婦人科、検診施設などが連携してHBOCの診断、治療、フォローアップにあたる体制を強化するため、「遺伝性乳がん卵巣がん総合診療制度」を創設することを発表した。遺伝性乳がん卵巣がんのカウンセリング、遺伝子検査、乳房と卵巣・卵管の予防切除まで行い中核的な役割を担う「総合診療施設」、そことネットワークを組む「連携施設」、「協力施設」の3段階に分けて施設認定を行い、HBOCの人の検診、治療、フォローアップを行う予定だ。この認定制度が機能し始めれば、「HBOCかもしれない」と悩む患者・家族が、どこの施設に行ったら遺伝カウセリング、検査、予防治療を受けられるか分かりやすくなると見られる。

 乳がんの人がHBOCと分かった場合には、がんの治療法の選択にも影響する。「乳がんの標準的な治療は乳房温存手術ですが、HBOCの人が温存手術を受けると同じ側の乳房に第2のがんが出て来る確率が一般の人に比べて若干高い。反対側の乳房にがんが出るリスクも若干高いので、乳房温存手術ではなく全摘して再建したり、反対側の乳房も予防的に切除したりする選択肢がある。予防的に乳房を切除して再建する場合には保険が使えず自費診療になってしまうので、将来的に保険診療で予防切除後の再建までできるように取り組んでいきたい」。昭和大学病院ブレストセンター長の中村清吾氏は、そう強調した。

昭和大学病院ブレストセンター長の中村清吾氏

 BRCA1とBRCA2では、乳がんのタイプが異なることも分かっている。BRCA2が陽性の人は女性ホルモンの刺激で増殖するルミナール(luminal)タイプが、遺伝性乳がんではない人とほぼ同じように8割を占める。しかし、BRCA1に由来する乳がんはトリプルネガティブタイプが6割で、ホルモン療法やタキサン系の抗がん剤が効きにくいのが特徴だ。

 中村氏はさらに、「BRCA1/2に変異のある人をターゲットにしたPARP阻害薬と呼ばれる薬の開発が進んでおり、日本でも臨床試験が行われている。今後は、HBOCかどうかを調べることが術後の再発予防の薬の選択にも影響する可能性がある」と話した。

この記事を友達に伝える印刷用ページ