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レポート

2015/2/3

神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科の加藤晃史氏に聞く

EGFR遺伝子変異のある肺癌の治療中に認められる下痢の対処法、教えます

加藤勇治

 昨年、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のカテゴリーに分類される新しい薬剤としてアファチニブが発売開始となった。EGFR遺伝子に活性型の変異がある非小細胞肺癌患者に用いられる薬剤で、これまでに行われた臨床試験の結果から、無増悪生存期間(PFS)は標準的な化学療法よりも延長すること、全生存期間(OS)は特にエクソン19欠失というタイプのEGFR遺伝子変異がある場合、有意に化学療法よりも延長することが示されるなど、注目されている薬剤だ。


 一方、アファチニブの服用開始から1週間以内にほとんどの患者で発生する副作用が下痢だ。アファチニブの臨床試験に携わり、副作用である下痢について詳しい神奈川県立循環器呼吸器病センター肺がん包括診療センター・呼吸器内科の加藤晃史氏は、「多くの方のイメージする下痢とは少し違う。是非、アファチニブで起こる下痢をよく知って、自らマネージメントする方法を身につけて欲しい」と語る。


 アファチニブが発売されて以降、下痢についての情報提供を積極的に行ってきました。患者さんと医療者に、アファチニブで起こる下痢についてよく知っていただきたいと思ったからです。

 アファチニブを服用して、副作用として起こる下痢は、医学的には腸粘膜が傷害されて起こる分泌性下痢であり、遅発性下痢です。一般に食事をしたり飲み物を飲んだりして体内に入った水分は、腸で吸収されています。また、腸では栄養の消化吸収をするため、腸から水分が分泌され、そして腸で再吸収されているのです。分泌性下痢は、この腸での水分の分泌や吸収に障害が起こり、便中の水分が多くなってしまうタイプの下痢です。

 感染症によって起こる下痢も分泌性下痢なのですが、副作用として起こる下痢と感染症によって起こる下痢は症状が異なっています。副作用として起こる下痢は、多くの場合、腹部の痛みは起こりません。傷んだ食べ物を食べてあたったときやウイルスに感染して起こる下痢は、皆さんご経験があるようにお腹が痛くなりますが、ああいった痛みはほとんどの場合起こりません。

 症状ですが、まずお腹が緩くなります。最初は軟便から始まることが多いようです。水分を再吸収できないので、腸に水分がたまってきてまたトイレに行きたくなります。繰り返しトイレに行くので少しずつ水分の割合が多くなってはいきますが、お腹が痛い下痢の時のようにまるで水が噴水のようにシャーっと出る感じではありません。

 また、下痢には体内の異物を排出するために腸の運動が活発になって便を押し出すタイプがありますが、この副作用によって起こる下痢は腸の運動が活発になるタイプではないので、便を押し出すような動きは起こりません。そのため、いわゆる粗相をしてしまうケースはかなり少ないと思います。

 また、抗がん剤によって起こる下痢には早発性と遅発性の2つのタイプがあり、早発性は抗がん剤投与後数時間程度で発生することが多いのに対し、遅発性は投与後数日から10日経過してから発生することが多いタイプです。アファチニブによる下痢は遅発性に分類されますが、遅発性の中でも早期に発生する傾向にあります。臨床試験の結果では、発生までの中央値(=およそ平均値)は4日となっていますが、経験的には投与開始後、48時間以内に発生する患者さんが多いと感じています。いずれにしても、1週間以内に、程度の差はありますが、ほとんどの患者さんでお腹が緩くなります。

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