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2014/8/19

がん治療と仕事を両立させるために会社と相談する際のコツ

福原麻希=医療ジャーナリスト

いつも以上にマメなコミュニケーションを心がける

 Aさんの事例を受けて、パネリストからは参考になる発言が次々と出てきた。

 人事担当者として、日経BP社執行役員人事労務担当補佐兼人事室長の寺山正一氏からは「会社は従業員のことを、半年、1年単位のパフォーマンスでなく、20年間、30年間続けて見て評価しているので、病気になったり困ったりしたときでも安心してほしい。公式、非公式問わず、人事部や周囲の上司の話しやすい人に相談してもらうことで、会社でもなるべく早く情報を共有し、できるかぎり対応していく」と言う。

 また、病気になったことによる異動については「医療関係者の客観的な情報があれば、不用意に異動させずにすむ。新しい環境に異動することで、かえって本人に負荷がかかる場合もあるのではないか」とも指摘する。

 産業保健師として、足利銀行人事部で行員の健康管理やメンタルヘルス・疾病からの復職支援を担当している湯澤洋美氏は、「会社側に相談するときは、話をする相手の方のがんという病気に対するイメージが、その後を左右する。上司が『すごく重大な病気で、もう仕事はできない』と思ってしまうこともある。Aさんのように副作用のスケジュールを見せることは理解につながりますね」と事例に対して補足した。

 さらに、「時折、『身体は調子いいです』と変わりないときでも報告したり、『これはできます』『大丈夫です』と、ご自分の意欲を伝えたりするなど、周囲や上司とマメにコミュニケーションを取るといいですね」とアドバイスした。

 医療者の立場からは、国立がん研究センターがん対策情報センターでがんサバイバーシップ支援研究部長の高橋都氏は「医療者は基本的に患者さんが専業患者だと思っていて、地域で働いているとはあまり思っていない」と指摘した。「医療者は病状のことは専門家だからよくわかるが、働き方の具体的なアドバイスは難しいこともある」とも話す。

 高橋氏からの「従業員をサポートするシステムの有無は、会社のどこに差があるのか」という質問に対しては、座長の武田雅子氏が長年の人事担当者としての経験から「組織の風土だと思う。制度を整備しても、使える従業員が出てこなければ意味がない」と話した。

 続けて、同じ人事担当の寺山氏は「会社が病気になった人をどうサポートしているか、会社の姿勢を全従業員が見ていると考えるべきだろう」と語った。

 さらに、湯澤氏からは上級テクニックとして、「会社の産業医と治療を担当する医師との連携を勧める」というアドバイスもあった。病院の医師からの医療情報を会社の産業医に伝え、その上でどのように働きたいかという本人の希望を話し合う。その内容を病院の医師に患者から診察時に話すことで、「会社も治療と仕事との両立に協力してくれていることがうまく伝わる」と言う。つまり、双方から適切な助言を受けられるようになる。

 近年、アメリカでは「企業経営の成功の決め手」として、従業員の健康と企業の収益性を結び付ける考え方が重んじられている(『Healthy Companies』(米国の心理学者ロバート・ローゼン著)。おもに、労働安全衛生や疾病予防、健康管理を目指すことから始まったことだったが、今回のテーマのように従業員が病気になったときの対策としても、「人材の活用」と「企業の損失」の観点で共通することは多いだろう。
 

◆「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」プロジェクト「第2回意見交換会 中小企業編1」は8月30日(土)国立がん研究センターにて開催される。詳細は同プロジェクトのホームページを参照してほしい。意見交換会に参加できるのはサポート会員のみ。現在サポート会員は410名が登録されている。本意見交換会の詳細レポートが8月下旬に「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」サイトに掲載を予定している。  

「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」(別ウインドウで開きます)
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201401/work_with_cancer/

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