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2014/8/19

がん治療と仕事を両立させるために会社と相談する際のコツ

福原麻希=医療ジャーナリスト

 近年、がんと診断された後も働き続ける人が増えている。厚労省におけるがん対策でも、がん対策推進基本計画の全体目標「がんによる死亡者の減少」「すべてのがん患者と、その家族の苦痛の軽減。療養生活の質の維持向上」に、2012年度から「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が新たに加わった。そこで、国立がん研究センターのがん対策情報センターでは、特に「働く世代のがん対策の充実」に向けて取り組みをしている。


 7月7日、国立がん研究センターで「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」プロジェクト(国立がん研究センター・がん対策情報センター主催)の「第1回意見交換会 大企業編1(座長:クレディセゾン取締役・戦略人事部・CS推進室管掌 武田雅子)」が開催された。

 会場には、プロジェクトのサポート会員(患者、家族、企業関係者、患者支援者、行政関係者)が集まり、職場での悩みを共有したほか、パネリストとフロアから意見が相次ぎ、活発な議論が展開された。

職場内で自分の居場所をつくるには

 がん患者が働きたい理由は「家族を養わなければならない」「治療費が必要」「治療を終えたので、以前の自分らしい生活に戻りたい」など、いろいろある。

 意見交換会で、事例発表をした乳がんのサバイバーAさん(43歳)の場合は「1人暮らしなので、社会との接点(つながり)を持ちたかった」だった。外資系アパレルメーカーの事務職で、いまも働いている。

 告知や治療方針を決める過程で、Aさんは「主治医から『仕事と治療を両立させている人は多い』『治療後も無理のない範囲で社会に貢献することが期待されているから、そのつもりでがんばって』と言われたことに勇気をもらった」と言う。

 だが、Aさんの会社では、社員ががんを経験してからも働き続けたという前例がなかったので、職場内でいろいろ工夫を重ねた。

 まず、上司にがんになったことを伝えたとき、今後、自分は「部署内のどの仕事ならできるか」を提案したという。Aさんは他部署との折衝が少なく、スケジュールに縛られない、部署内の裏方業務を希望した。それはいままで経験したことがない仕事だったが、上司も提案には、すぐ応じてくれた。

 治療との両立については、乳房の全摘手術と術後の療養の1ヵ月は就業規則制度の「病気休暇」を利用した。その後の抗がん剤治療期間については、会社からは休職を勧められたが、Aさんは職場の状況がいつもスピーディーに変わることを憂慮し、いつも情報を得られるよう、全治療期間の3分の1は「有給休暇」で、3分の2は「時短勤務」を選んだ。

 このとき、「抗がん剤治療中、副作用がどのように出るか」について、グラフで分かりやすく説明してある資料を上司に見せて理解を仰いだ。医療のことをあまりよく知らなかった上司にとって、長い文章より、目で見て理解しやすかったようだという。

 だが、「上司から『そうは言っても、できないこともあるんじゃないの』と言われるのではないか」「いきなり相談して、会社側の対応にがっかりすることもあるかもしれない」などと何度も不安はよぎった。

 このため、Aさんは社内で仲のいい友人と話し合うなど慎重に準備してから、会社と相談するようにした。そのほかの周囲の人たちは、その後、職場内で業務や働き方が安定してから、個々にランチに誘うなどして、徐々に伝えていった。

 抗がん剤治療中は副作用でほとんどの髪の毛がゴッソリ抜けてしまい、通勤時はウイッグを使った。だが、治療後、髪が伸び始めると、今度はウイッグがきつくて被りにくくなった。また、ホルモン治療の影響で秋から冬の時期にもかかわらず、体がほてって暑く感じることもあった。これらの悩みには、会議室で仕事ができるよう配慮してもらった。

 リンパ浮腫による腕の痛みでパソコンが打てなくなったり、めまいやふらつきが出たりしたときは医務室に駆け込んだ。

 やがて、体調のコントロールができるようになり、残業もこなせるようになった。術後2年経った頃からは、ほぼ術前の生活に戻っている。

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