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レポート

2014/7/29

選択肢が増えた膵がんの抗がん剤治療、手術はより安全に Vol.2

森下紀代美=医学ライター

Q7:家族に膵がん患者がいると膵がんになる確率が高いということですが、良い検査法があれば教えてください。

A(齋浦):お勧めする検査法の一つは超音波検査で、主膵管の拡張があるかどうかを確認することです。もう一つは、通常よりも薄い2.5mmのスライスでの単純造影CTです。超音波検査はCT検査よりも劣りますが、悪影響はないため、通常の人間ドックに加えていただくことが良いと思います。

 ただし、問題もあります。40歳の人が半年に1回、CT検査をするとしたら、被爆もありますし、家族歴があってもがんのリスクが大幅に高まるわけではなく、無駄なCT検査を何十回も行うことになる可能性もあります。一生膵がんにならない可能性も十分あります。また、半年に1回CT検査を行っても、必ずしも切除可能な段階で見つかるとは限りません。

Q8:「術後補助化学療法でS-1を内服していましたが、半年間で止めましょうと言われました。それ以上は内服しないものなのでしょうか?」 「術後補助化学療法でゲムシタビンの投与を1年3か月間受けていますが、ずっと治療を続けた方が良いのでしょうか?」

A(齋浦):ランダム化比較試験のエビデンスによると、術後補助化学療法は半年間になります。手術のみと手術+術後補助化学療法を比較した日本の臨床試験では、術後補助化学療法を3カ月間行うことで治療効果の改善が示され、同じ頃に欧米で行われた臨床試験では半年間で同様の成績でした。そのため、術後に3カ月以上半年以内の抗がん剤治療を行うことが良いと考えられます。さらに長い1年間が良いかどうかは、現在では答えが出ていません。

 他のがん、例えば胃がんでは術後補助化学療法を1年間行います。残念ながら、膵がんの平均余命は現状では2年から3年です。術後補助化学療法を1年間行うとすると、再発した場合は再び化学療法を行うことになるため、抗がん剤を投与していない期間は短いということになります。がんの手術後の平均余命により、相対的に術後補助化学療法の期間が決まるという部分もあります。

 術後補助化学療法を1年間続けられる主治医、患者さんもいます。切除できても、患者さんによってリンパ節転移の程度や再発のリスクの高さは違いますから、副作用が少ない場合は相談のうえ、エビデンスはなくても投与を続けるという選択肢もあると思います。

Q9:現在の日本の術後補助化学療法はS-1ですが、将来的にFOLFIRINOXになる可能性はありますか?

A(齋浦):FOLFIRINOXは副作用が強いため、同じ治療成績であれば従来の治療法の方が良いと思います。治療成績が上がるのであれば可能性はあると思います。

Q10:術後は5年間が1つの目安という話を聞きます。転移がなく、術後1年、2年と年数が経てば再発のリスクは減ると考えて良いのでしょうか?

A(齋浦):その通りです。手術後の再発のリスクは、手術からの期間が短いほど高くなります。ほとんどの再発は手術後1、2年以内に起こり、徐々にリスクは減少します。ただし、がんの種類により、5年間で再発のリスクが0になるかどうかは異なります。例えば乳がんでは10年経ってもリスクは0にはなりませんが、胆管がんなどでは0に近づきます。膵がんではこれまで治療成績が不良で、5年間生存する患者さんが少なかったため、データがありませんでしたが、近年、治療成績が上がり、わかってきました。米国のデータでは、5年間再発がなかった患者さんのうち、3分の1が5年以降に再発していました。当院で5年以降に再発した人は5%程度です。5年間経過できたならば、それ以降の再発のリスクは膵がんでは低いと考えられます。

Q11:膵頭十二指腸切除は低侵襲と言われる腹腔鏡下手術で行うことは出来ますか?

A(齋浦):当院でも腹腔鏡下手術による膵体尾部切除は行っています。ただし、悪性度が高い浸潤性膵管がんには行っていません。膵頭十二指腸切除については保険適応となっていないため、臨床研究として4件行いましたが、悪性度が低い腫瘍に対してです。腹腔鏡下手術は低侵襲で術後の回復が早く、在院期間も短縮できる印象があります。ただし、技術的な面では、出血時の対応や機器の精度などにまだ課題があり、腹腔鏡下手術の利点である手術中の視野の改善は、膵がんではあまりありません。5-10年後には腹腔鏡下手術が標準的な手術になると思いますが、そのためには私たちの努力が必要ですし、患者さんにも臨床試験に参加していただく必要があります。現時点では時期尚早だと思います。

Q12:通っている病院がFOLFIRINOXに積極的ではありません。がん研有明病院に相談に行きたいのですが。

A(石井):はい、お越しください。ただし、今までお話ししてきたとおり、どの患者さんにも行える治療ではないことをご理解いただきたいと思います。FOLFIRINOXの治療を開始してからまだ期間が短いため、現在は1回目の治療は入院とし、その後は外来で治療を行っていますが、今後変わる可能性があります。当院では診断から2週間での手術を目指しており、そうした患者さんたちをお待たせしないためにも、抗がん剤治療はできるだけ外来でお願いしています。

Q13:手術適応になりましたが、1.5カ月待ちと言われました。待っているのは不安です。

A(齋浦):当院では膵がんの患者さんは1カ月以内に必ず手術するように、麻酔科を含めて体制をとっています。

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