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2014/4/1

麻痺を回避するために普段から身体のバランスや足のふらつきに注意しましょう

加藤勇治

橋本 では、痛み以外に麻痺の兆候を察知できる症状はあるのでしょうか。

 これまで、麻痺の兆候として、痛み以外に言われていたのは、足がもつれる、踏ん張りがきかない、などといったもので、患者さんには、寝転がって、足を上げてみる、膝立てをしてみる、足首を曲げ伸ばししてみる、という3点を行ってみて、うまくできないことがあれば受診しましょう、とお知らせしてきました。「立てなくなってから48時間」は、麻痺が始まってから48時間以内ということになりますが、ではそれよりももっと早くというならば、どんな症状が認められたら受診すべきなのか。

 実は、この点がまだ医学的には確立したものがありません。まだ十分に研究されていないのです。

 ただし、我々の検討で、専門用語で言うと深部知覚と呼ばれる、位置覚、振動覚の障害が指標になるのではないかと思っています。一般的に言うと、足のふらつきや歩きにくさを感じたら受診しましょう、という言い方です。

 振動覚というのは振動する物体の動きを感じるもので、病院では音楽で使う音叉(のようなもの)を足に当てて、音叉の震えを感じられるかどうかで検査します。位置覚は身体の位置関係、例えば、関節が今どれくらいの角度で曲がっているかを目で見ないで感じ取ることができたり、身体がどのくらい傾いているかを感じ取ることができたりするといった感覚です。

 我々人間は地球上で唯一、常時二足歩行できる生物です。スムーズな二足歩行をするには、両足と胴体部分の左右にあるおよそ80個の筋肉をコントロールする必要があるのです。筋肉を伸ばしたり縮めたり、今、関節はどこの位置にあるのかを把握し、どのようにバランスをとったらよいか、瞬時に判断して筋肉に指令を送っています。ただ立っているだけのように見えても、たくさんの筋肉を協調させ、調和させてはじめて成り立っている動作なのです。

 こうしたコントロールに不可欠な感覚が位置覚や振動覚などの深部知覚です。脊髄圧迫がいよいよ強まって、筋力の低下に至る前に位置覚や振動覚に異常が認められるようになるのではないかと考えています。従来、体表面の感覚(熱さ、痛みや触っているという感覚)が重視されてきましたが、歩行と密接な関係のある位置覚や振動覚などの感覚が重要であることを示すデータも出てきています。

 そのため、今回、我々は、「背骨や胸回り、腰回りに痛みがないかどうか」「足のしびれがないかどうか」という注意点に加えて、麻痺の予兆を見抜くために、「目を開けて片足立ちを何秒続けられるか」「10歩連続継ぎ足歩行」「椅子からの立ち上がり」の3つ(図2参照)を日頃から注意しておいて欲しいとお話しすることにしました。

 骨転移があると主治医に言われた方、再発や転移の治療を行っている方、腫瘍マーカーが上昇傾向にあるという方は特に注意が必要です。これらのバランス能力の点検方法で、ふらつきがでたり、不安定になってしまったりするようであれば、一両日中には受診していただきたいと思っています。

図2 麻痺の予兆を見抜くには?(画像をクリックすると拡大します)
(大阪府立成人病センター 橋本伸之氏提供)

 これらの点検方法は、まだ医学的に広く認められた方法ではありませんが、これまでの治療経験上、歩ける身体を維持していくためには、「立てなくなってから48時間以内」ではなく、より早く予兆に気付き、受診する必要性があり、一つの目安になるものと考えています。

 実は、最近、私の子供に教えてもらったのですが、任天堂の「wii fit」というソフトについているバランスボードで重心の動揺性(重心のふらつき)を測定できるようです。もう少しいろいろな情報がテレビ画面に出てくるともっと有効なのにとは思いますが、こうしたソフトがご自宅にあったら、定期的にご自身の重心の安定性を測っておくといいかもしれません。

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