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レポート

2014/3/11

骨転移に対する放射線治療は進歩してきています

加藤勇治

──脊髄圧迫による麻痺のリスクが高まっているときはどうなりますか。

小泉 腫瘍が脊髄を圧迫して、しびれが強くなったときや立てなくなったときなど、麻痺が出始めている、または、今にも麻痺になりそうな場合や、あるいは今にも骨折して脊髄を押しつぶしそうなときには、すぐに手術が可能かどうか検討します。麻痺の症状が出始めてから24〜48時間以内に治療しなければ、麻痺の回復は困難と言われています。

 時間との勝負なのですが、残念ながらその時間内に手術が出来ないことも少なくありません。先に述べたように、高齢の方で合併症があったりすると手術は難しいですし、緊急の手術に対応することが難しいときもあります。

 こうした場合も放射線治療の適応になることが多いと思います。

 一方、放射線治療が難しいのは、静止臥床が出来ない場合です。例えば、痛みが強くて静止した状態で寝ていられないような場合は、残念ながら放射線治療が出来ません。

──放射線治療の効果はどれぐらい得られるのでしょうか。

小泉 骨転移により痛みに対しては、80%から90%にやわらげる効果が得られます。脊髄圧迫に対する緊急照射については全体の運動改善率は約40%と考えられています。

 神経症状や麻痺が軽度で診断・治療が早ければ早いほど高い効果が得られます。完全麻痺を起こさないことが重要ですが、完全麻痺となってしまってから放射線照射を行った場合、回復が期待できるのは、先に述べたように麻痺となってから治療までの時間が24〜48時間以内であるとされています。48時間が経過してしまうと放射線治療を行っても麻痺の回復の可能性はかなり低くなってしまいます。

 過去に、脊髄の圧迫が認められる症例を対象に、手術を行うグループと放射線照射を行うグループの2群に分けて歩行機能の回復率を検討した試験があります。その結果、手術群の歩行機能回復率は62%だったのに対し、放射線治療群は19%でした。このうち、治療前に歩行が可能だった症例のみを対象とした歩行機能温存率についても、手術群が94%だったのに対し、放射線治療群は74%でした。やはり手術の方が圧倒的に歩行機能を回復または温存できる割合が高いことが示されています。

 ただし、これまで述べてきたように、手術が出来ない場合も少なくありません。放射線治療は静止してベッドに横になることが出来るならば、どんながんであっても、また身体状態が多少悪くなっていても行うことができるケースが多いので、我々放射線医としては何とか出来れば、と思って治療に当たっています。

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