このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2014/3/11

骨転移に対する放射線治療は進歩してきています

加藤勇治

 骨転移が認められている場合で、骨折麻痺を回避するため、また痛みなどの症状を取り除くために行われる治療は摘出手術だが、年齢や身体状態などにより手術が出来ない場合も多い。そこで注目されるのが放射線治療だ。近年、精度の高い照射を行うことが可能になり、一度放射線治療を受けた患者に対する再照射も検討されるようになってきた。放射線治療に詳しい大阪大学放射線腫瘍学教室教授の小泉雅彦氏に、最新の治療動向を聞いた。


──骨転移が認められる症例はどの程度ありますか。

小泉 我々の調査では、2011年に大阪大学附属病院放射線治療科を新規に受診されたがん患者さん626人の11%に骨転移が認められています。

 もともと骨転移は肺癌や子宮癌、食道癌などで多かったのですが、最近は乳癌や前立腺癌患者さんの骨転移が増えています。

 我々の施設は大学病院なので一般病院とは少し状況が異なっているでしょうが、がん治療の進歩に伴って予後が延長していることから、骨転移が認められるケースは増えてきていると感じています。

──骨転移に対する放射線治療の適応をお聞かせ下さい。

小泉 骨転移を治療するにあたり、まず何より骨転移の有無を正確に評価することが大切です。

 特に注意するのは、変形性関節症などとの鑑別です。変形性関節症は、さまざまな原因により関節に痛みや腫れが起こり、これが続くと関節に変形をきたす疾患ですが、高齢者に多いものです。また、筋力が低下している、運動不足や肥満があって関節に負担がかかることでも起こりやすいと考えられています。

 がん患者さんで、肘や膝、肩や足の付け根などが痛むため、「骨転移か」と不安になられることがあると思いますが、まずその痛みが本当に骨転移による痛みなのか、はっきりさせる必要があります。

 それぞれの診療科において、定期的にX線写真、CTやMRIなどを撮影されていると思いますが、骨転移の確定診断には、骨シンチ(骨シンチグラフィー)やPETが有効です。骨シンチは、骨を構成するカルシウムと似た物質が骨の代謝の活発な部位、つまり骨転移巣に集まりやすい性質を利用して骨転移の有無を評価するものです。また、PETは増殖が活発ながん細胞に集まる物質を用いるもので、骨転移の有無を全身的に評価できます。

 本来は骨生検、つまり針を刺してその骨の組織の一部を採取し、評価することで確実に骨転移であることを確認したいのですが、骨生検はそもそも侵襲性が高いですし、既に他の臓器に転移などがあるならば骨転移である可能性も高い、などの理由によって、骨生検が行われずに放射線科に紹介されることも多いのが現状です。MRIや骨シンチ、PET、そして何よりこれまでの患者さんの経過を聞いて、総合的に慎重に判断することになります。

この記事を友達に伝える印刷用ページ