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レポート

2014/1/7

新ガイドラインの改訂ポイントと最新治療、パープルリボンセミナー東京2013より

最新の知見が盛り込まれた膵がん診療ガイドライン

福島安紀=医療ライター

杏林大学医学部付属病院腫瘍内科教授の古瀬純司氏

新しい治療法の登場に期待

 「抗がん剤併用療法時代の幕開け」をテーマに講演した杏林大学医学部付属病院腫瘍内科教授の古瀬純司氏は、局所進行切除不能あるいは遠隔転移を有する膵がん患者に対するゲムシタビンとエルロチニブの併用療法は、ゲムシタビン単独療法より死亡リスクを18%下げ、生存期間を22%延長したことを紹介した。

 古瀬氏は、「非喫煙者で肺に慢性疾患がなく、比較的若くて体力のある人に適した初回治療です。最良の効果を得るには適切な使用が大切ですので、この治療法が有効な患者をあらかじめ特定できるような効果予測因子を見つけるべく努力をしているところです」と話した。

 一方、日本の研究者が中心となって行われたゲムシタビンとS-1の併用療法をゲムシタビン単独療法、S-1単独療法と比較する臨床試験では、併用療法のメリットは示されなかった。

 海外で標準治療の1つとなっており、日本では2013年12月に承認されたオキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル、ホリナートカルシウムを併用するFOLFIRINOX療法についても新ガイドライン中で言及している。ガイドライン発刊時点ではFOLFIRINOX併用療法はまだ承認されていなかったが、「遠隔転移を有する膵がんで全身状態が良好な患者の治療選択肢になる」として位置付けた。フランスのグループが転移・再発した膵がん患者342人を対象に実施した臨床試験では、FOLFIRINOX療法を実施した32%の患者で腫瘍縮小効果が見られ、ゲムシタビン群の9%よりも高かったほか、ゲムシタビン単独療法に比べて死亡リスクを43%減少したという結果が示されている。

 「ゲムシタビン単独療法に比べると副作用は強いのですが、臨床試験に参加した日本人患者さんの中には、肝転移とリンパ節転移が縮小し1年以上病気が進行していない人がおり、期待される治療法」と古瀬氏は解説した。

 もう一つ、新たな治療法として注目されるのがゲムシタビンとnab-パクリタキセルの併用療法だ。nab-パクリタキセルは、卵巣がんや非小細胞肺がんなどに使われるパクリタキセルをヒト血清アルブミンに結合させた新しいタイプの薬で、薬効成分が効率よく腫瘍組織内に移行しアレルギー反応の副作用が起こりにくい。日本でも乳がん、非小細胞肺がん、胃がんで保険適用されている薬剤だ。

 米国で行われたゲムシタビンとnab-パクリタキセルの併用療法の臨床試験では、ゲムシタビン単独療法に比べて死亡リスクを28%軽減させたとの結果が出ている。ゲムシタビン単独療法に比べると骨髄抑制、下痢などの副作用の頻度が多いため、全身状態が良好な患者が対象になる。

 古瀬氏はこの併用療法について、次のように期待を込めて話した。「ゲムシタビンとnab-パクリタキセルの併用療法は、FOLFIRINOXよりは少し治療効果が低いのですが、非常によく効く人がいます。米国の臨床試験には日本人を含むアジア人が入っていなかったのですが、ドラッグ・ラグを最小限にするべく昨年11月から日本人を対象にした臨床試験を開始し、すでに登録が終了しています。うまくいけば来年中には日本でもnab-パクリタキセルとゲムシタビンの併用療法が使えるようになるかもしれません。今後は、こういった併用療法も含め、いろいろ薬を使っていくことで長期間膵がんがコントロールできる患者さんが増えるのではないでしょうか」

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